アンティークショップ~紫の石~


























 

























鏡の中へと吸い込まれてしまった瞬間…驚いて目を瞑ってしまっていた。



そのままそっと目を開けたのだが…。



周りは真っ暗で何も見えず、無音の空間を通り抜けている感覚はあるのだがその空間には足元を支える物はなく歩いているというよりは浮いている…という表現の方が正しいような気がする…。






それも真っ直ぐ進んでいるのではなく…グルグルと回転しながら移動をしている感覚があり…。









そんな空間を通り抜けたかと思うと、グニャリと周りの空間が歪んだかと思うと次の瞬間には…。










ゴォォォォォーーーーーーーッ…



と音を立てて吹く強風に、


ザザザザザーッ…


ザザザザザーッ…



と激しい雨と、




ゴロゴロゴロゴロ…


ドォーーーーンッ!!



ゴロゴロ…




と鳴り響く雷雨で…。





宙を浮いている感覚はあるのだが、相変わらずグルグルと回転をしている感覚があり、一体何処にいるのか分からず…。



只…なんとなく分かるのは、嵐の中(空?)に放り出されてしまった事だけは確かで…。




激しい雨風で息をするのもやっとの思いで何とか息をして、



「ぶっはっ!!」



と息を吸い込みながら、こんな嵐の中…か細い潤は大丈夫なのか…?と心配になり、潤に『潤。大丈夫か?』と声を掛けたいが喋る事もままならない状態なので…。





繋いでいる潤の手を力を込めてギュッと強く握りしめると、潤も俺の手をギュッと握りしめ返してくれたのだった。





ああ…、潤も無事なんだ…。 



とホッと安心したのだった。

































 アンティークショップ 〜紫の石〜 ㉙




























どれくらい薄暗い嵐の中を彷徨い続けていたのだろうか…?




だんだん薄暗さにも目が慣れてきて、容赦なく降り注ぐ雨を目だけで追って見ていると、上の方(回転しているので下の方かも…?)に何かがキラリと光った様な気がしたのだった。




何だ…?


と思い、直視するには雨が強すぎるのでほんの少しだけ顔を光の見える方向に向け目で追ってみると…。




黄色の綺麗な光が見えたのだった。





その光がチカチカと点滅していて、何となくあの光の方向に行くべきなのでは…?


と思い、潤の手をグイッグイッと引っ張ると、潤が俺の方を振り返って見てきたので、空いている方の手を黄色の点滅する光を指差すと、潤も黄色の点滅する光に気が付き、まーくんの手を引っ張りまーくんに必死でアイコンタクトで黄色のチカチカと光る光の存在を知らせていたのだった。






潤が必死で白くて小さな羽根を羽ばたかせて、俺とまーくんの手を引いて黄色の点滅している光に近付こうとしているのだが…。




なかなか上手くいかず…。




光に近付いては雨風に邪魔をされて離れて…近付いては雨風に邪魔をされて離れて…と何度も何度も繰り返していたのだった。







嵐の中…豪雨と強風で白くて小さな羽根で羽ばたく潤の体力もかなり消耗しており、潤はフラフラとしながら飛んでいていくら潤に羽根があるといえども自分より大きな男を2人引っ張っているうえにこの嵐の中…もうこれ以上は潤が倒れてしまうと思い…。




光に向かって飛び立とうとする潤の手をグイッと引っ張り、振り返った潤に顔を横に振り、


「潤。
もうこれ以上はいいよ。
潤が倒れるっ!!」



嵐の中潤に俺の声は届かないかと思ったのだが、そう叫ぶと…。




潤はフルフルと顔を横に振ると、再び黄色の光の元へと飛び立とうとしたのだった。






そんな潤の様子を見たまーくんが困った顔をして俺と潤の顔を見比べると、





「ふぅー…。」



とため息をついたかと思うと…。




まーくんの左手には…カズがよく持っている箸の様な細長い棒が握られていたのだった。



まーくんの持っている棒の棒がカズが持っている物より少し大きくて、色も濃くて黒茶に近い色だった。




その棒を黄色の光に向けて振りかざしながらまーくんが何かを呟くと…。











先程まで全く近付く事が出来なかった黄色の点滅する光へとスゥーーーーーッと少しずつ近付いて行ったのだった。





























アンティークショップ 〜紫の石〜 ㉙
⭐⭐to becontinued⭐⭐