アンティークショップ~紫の石~
















 
























グニャリとした足元と歪んだ空間の中、頭がクラクラとして倒れそうになるのを何とか持ち堪えた。



耳鳴りが酷くてキィーーーーンッ…して痛くなった耳押さえながら、



「耳…痛っ、…。」


と呟くと…。






ガタンッガタッ…





ドタドタドタドタドタ…





トテテテテテテテ…




という物音と足音と共に、







「うわぁぁぁーーーーーーーっ!!!」





「あーーーっ!!!
まーくんっ!!」





と叫ぶ声が聞こえ、声のする方を見ると…。





自称まーくんがリビングの一角に作っているスノードーム を飾る為の棚の方向へと引き寄せられていたのだった。






それを潤が必死で自称まーくんの右手を引っ張って阻止をしており、潤の背中には白くて小さな妖精の羽根が出ており、その羽根をパタパタと必死に羽ばたかせ、



「まーくんっ!!
がんばってぇーっ!!」



と自分より背の高い自称まーくんを引っ張っていたのだった。




「うわぁーーーーっ!!!
ジュンちゃん…どうしようーーーっ!?」



と叫ぶ自称まーくんの身体が何かに引き寄せられるというより吸い込まれていて…。

 



左手はスノードーム を置いている棚の上にある何かに物凄い勢いで吸い込まれいっていたのだった。





フラフラとしながら2人のいる所まで行き、



「潤、手伝うよ。」



と言うと、潤は泣きそうな顔をしながら、


「しょおさん。
ありがとうございますっ!!」


と言った。






「翔ちゃん…。
ありがとう…。」



と涙を浮かべてそう言う自称まーくんの右手を潤と一緒に引っ張るのだが…。






自称まーくんを引き寄せる何かの力はとてつもなく強くて、左側の身体も少しずつ、


ズ…ズズズ…

ズズズ…ズズ…




と吸い込まれいっており…。





なんて力だよっ!!



一体何に引き寄せられているんだ…?



と思い、自称まーくんの身体が吸い込まれていっている物へと目を向けると…。





そこには手のひらより少し大きめの丸い形をした物があったのだった。







え…?



あんな物ウチにあったっけ…?



何となく何処かで見た覚えのある物だったのだが、どこで見たっけ…?








と自称まーくんの手を引っ張りながら考えていると…。





色は違うが形が似ている物をとある場所で見かけた事があるのを思い出し、






「あっ!!」


と思わず声を上げると、潤が、


「しょおさん…どうか…しましたか…?」


と聞いてきたのだった。



















 アンティークショップ 〜紫の石〜 ㉘





























「潤…。
まーくんが吸い込まれている…あれは何?」



と聞くと、


「あれは…鏡なんです…。」



と潤は答えたのだった。








鏡か…。



やっぱりカズの店で見かけた鏡によく似ているよな…。






カズの店で見かけた鏡の色はくすんだ銀色で、裏側には羽根と紫色の花の模様が掘り込まれていたのだが…。



ウチにある鏡は表の鏡の部分しか見えていないのだが、鏡の大きさやデザインがよく似ていたのだった。




ただウチにある鏡はくすんだ金色の鏡で、カズの店にあったくすんだ銀色ではないので色違い…なのかな…?



と思い潤に、






「潤、あの鏡はどうしたんだ?」




と聞くと、潤は必死に自称まーくんを引っ張りながら、




「あれは…。
カズくんから貰ったんです…。
僕がしょおさんの所に来た翌日に…カズくんから届いたんです。
あの鏡がカズくんと…連絡を取る手段なんです…。」



と言ったのだった。








やはりそうか…。



只…カズが絡んでいるとなると…厄介かもしれないな…。



と思っていると、小さな鏡に吸い込まれている自称まーくんが力なく、


「ジユンちゃーん…。
翔ちゃん…。
…僕…もう…ダメ…。」




と言ったかと思うと、フッと鏡の中に消えていったのだった。







「はーっ!?」

 

「まーくんっ!?」




その瞬間…俺は驚いてしまい自称まーくんの手を離してしまったのだが、潤はそのまま自称まーくんの手を握りしめていて…。





「まーくん、待ってっ!!」



と自称まーくんの手を握っていた潤もスゥーッと鏡の中に吸い込まれてしまったのだった。







「潤っ!!」



潤が鏡の中に吸い込まれる寸前に、




「しょおさんっ!!」




と叫び、俺に差し出してきた右手を必死で掴み、潤を引っ張ろうとした瞬間…。





スゥーッ…






と、俺も一緒に鏡の中に吸い込まれてしまったのだった。















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