アンティークショップ~紫の石~



















 



  















俺達の家へと到着すると潤がガチャッと玄関の扉を開けてくれて、




「「ただいまーっ!!」」



と言いながら靴を脱いで家へとあがると…。




「おかえりーっ!!」


と言う声がリビングから聞こえたのだった。


潤の話からするとリビングに居るのはゴールデンレトリバーのまーくんの筈…。


しかし、リビングからは人の声が聞こえてきたので思わず、



「はっ!?
誰っ!?」



と潤に聞くと潤はニッコリと微笑んで、



「しょおさん、まーくんですよ。」


と言うとそのままトテテテテテテテッとリビングへと走って行き、リビングの扉を開けて中に入ると、




「まーくんっ、ただいまーっ!!
まーくんが言っていた通り、しょおさんが帰って来ていましたーっ!!」



と言ったのだった。



するとリビングの中に居る人物は、



「ジュンちゃん、おかえりーっ!!
ほらね、ジュンちゃん。
僕の言った通りだったでしょうっ!!」



テンション高めの声でそう言ったのだった。



その声には聞き覚えがなく…。




潤は一体誰と話しをしているんだ…?



潤は『まーくん』と言っているが、いくら天才犬のまーくんでも人間の言葉を喋るとは思えないし…。









さっき確かに『おかえりーっ!!』とリビングの中に居る人物は言ったよな?



その後も喋っているよな…?







カズの所で逢った時もまーくんは犬の鳴き声だったし。








あ…。


でも…。


まーくん桁外れの天才犬だから、もしかして喋れるのか…?



それなら潤に料理を教えてやっているのも納得出来るよな…?



と1人悶々と玄関で悩んでいたのだった。
















アンティークショップ 〜紫の石〜 ㉖























「あれ?
ジュンちゃん、翔ちゃんは?」



と謎の人物はまるで俺の事を知っているかの様に潤に聞いているのだが、俺には相手が全く検討がつかず…。



そうなると考えられるのは、





カズの所のゴールデンレトリバーのまーくんになりすました人物が純粋な潤に、『人間の姿になる事が出来る』とか何とか言って潤を騙しているという可能性が高いよな?



最近、潤は1人でスーパーに買い物に行っているので、その時に不審者に潤は目をつけられたのかもしれない。



潤は時々記憶が曖昧な事があるので(自分の好きな食べ物の名前を忘れていたりしたもんな…。)、それにつけ込まれている可能性はあるかもしれない…。




という事は潤が危ない!!




と思い、慌ててリビングへと向かい、





「潤っ!!
そいつはまーくんの偽者だっ!!」



と言いながらリビングへと乗り込むと…。







「あっ。
しょおさんが来ましたー。」



と潤は振り返ると、ニコニコと可愛い笑顔でそう言い…。




あ…。


可愛い♡



じゃなくって不審者はどこだよっ!?



と思っていると、潤の後ろに居た金色に近い明るい茶色の髪の長身でイケメンがニコニコとしながら俺の方を見てきたのだった。





えっ?


誰…?


ってか、こいつが不審者…?



不審者というよりモデルみたいにスタイルも良くて格好いいよな…。




と思いながら見つめているとバッチリ目が合うと、不審者のイケメンは満面の笑みを浮かべたのだった。



そうして、長い足で軽快に歩いて俺に近付いてきたかと思うと、



「翔ちゃんっ!!
逢いたかったよーっ!!」


と言いながら、ガシッ!!と抱きしめられたのだった。




それもかなりの力で…。




く、苦しい…。


けど、これだけ歓迎モードのバグをしてくるという事は俺の知り合い…なのか…?






自慢の記憶力をフル回転させて、今まで出逢ってきた人達を思い起こす子だったが…。














どんなに考えても、今俺を抱きしめているイケメンの顔は俺の記憶の中に居る人物達とは全く一致せず…。



俺…この人の事を忘れたのか…?




否…こんなイケメン一度逢うと忘れないよな…?



という事は俺はこの人と面識がないのでは…?





と思い、


「あの…。
どちら様でしょうか…?」




と恐る恐る聞くとその人は、





「あっ!!
あーあーあーっ!!
そっか、そっかっ!!
翔ちゃん、ごめん、ごめん…。」



と言うと両手をグーにして自分の胸の前に持って行くと突然…。



「ワンッワンッ!!
ワンッワンッ!!」





と言いながら俺に飛びついてきたのだった。





その拍子に床にドタンッ!!尻もちをついてしまい、しかも例の不審者イケメンは、



「クゥーン、クゥーン。
ワンッワンッ!!
翔ちゃん、大丈夫だわんっ?」



と犬の真似をしたままそう言ってきて…。




何がなんだかパルプンテなのだが…。


尻もちをついた尻は痛いし…。



イケメンの不審者が俺に乗っていて重いし、意味不明な言動で訳がわからないし…。






はぁっー!?


だからお前は一体誰だよっ!?







と思い、思いっきりイケメンの不審者を両手でグイッグイッと押して俺から離れて貰い、



「だーかーらー。
貴方は誰ですかっ!?」



と強い口調で言うとその人物は、



「えー?
翔ちゃん、僕はマサキ。
まーくんだよーわんっ!!」





と太陽の様に明るくてキラキラとした笑顔でそう言ったのだった。





















 アンティークショップ 〜紫の石〜 ㉖
⭐⭐to becontinued⭐⭐