アンティークショップ~紫の石~
「じゃあ、潤ちゃん、また来週ねっ!!
今日作ったお料理もお兄さんと一緒に食べてねっ!!」
と母が潤の手を握りながらそう言うと、潤は笑顔で、
「はいっ!!
また来週も遊びに来ますねっ!!
お料理も兄と一緒にいただきますっ!!」
と答えた。
俺の家族には潤は『職場の後輩の弟』と説明をしているので、母が潤に料理を教えてあげる時には必ず潤の分と俺の分と分けて容器に入れてわたしてくれるのだ。
なので実家に寄った後には大抵カズの店に寄り、カズにも潤と母の作った料理をおすそ分けしているんだ。
「おばさん、潤ちゃんが来るのが楽しみにしてるのよっ!!
だから、来週になるのが楽しみだわっ!!」
と母は笑顔で潤にそう言い潤から手を離そうとしなのだった。
人のよい潤はニコニコと微笑んで母の手を握り返したりするもんだから、このままだといつまで経っても帰れないと思い、
「母さん、もういいだろう?
潤…くんが帰れないよ。」
と言い、やんわりと潤から手を離して貰うように言うと、
「あら。
ごめんなさい。」
と言いながら名残惜しい顔をして潤の手をそっと離したのだった。
「潤…くん。
行こうか?」
と声を掛けると父が潤に、
「潤くんこれ。
よかったら帰ってから聞いてみてよ。」
と言いながら茶封筒を渡していた。
「ありがとうございますっ!!」
と潤は茶封筒を受け取り鞄の中に入れると、父と母に、
「お邪魔しました。
今日もありがとうございました。」
と頭を下げると、
「「気を付けて帰ってねっ!!」」
と父と母が玄関で見送ってくれたのだった。
アンティークショップ 〜紫の石〜 ㉒
実家から駅へと向かう道で、
「今日もカズの所に寄ろうか?」
と潤に言うと、潤は今日作った料理の入った袋を持ち上げ嬉しそうに、
「はいっ!!
今日はカズくんの大好物のハンバーグもあるので、カズくん喜んでくれると思いますっ!!」
と言ったのだった。
『カズくんの大好物。』
というワードが引っかかり…。
「そっか…。
カズの好物作ったんだ…。」
と思わず呟いてしまい、しまった!!と思っていると潤が、
「しょおさんの大好物のオムライス、しょおくんママさん風もちゃんと教えて貰って作っていますよ。」
と俺の顔を覗き込み、ニッコリと笑ってそう言った。
はぁ…。
この笑顔が可愛くて…。
カズに嫉妬していたのがバカらしくなってくるんだよな…。
「ははっ。
潤、ありがとう。」
と言い潤の頭を撫でてやると、潤は気持ちよさそうな顔をして、
「僕…しょおさんにこうして貰うの大好きです。」
と猫の様に目を細めて気持ちよさそうな顔をしてそう言った。
「そうだよなー。
潤は俺がこうしてやるの好きだもんなー。」
と言ってしまい…。
いや…今初めて知ったのに何で俺、知っていた様な事を言ってるんだよっ!?
と自分で驚いてしまったのだが、潤は気にする様子はなく、楽しそうに俺の隣をトテテテテテテテ…と歩いていたのだった。
電車に乗り最寄りの駅へと着き暫く歩くと赤煉瓦の壁には蔦がびっしりと絡まったレトロな雰囲気の建物が見えてきた。
窓からはオレンジ色の灯りが漏れており、潤と一緒にカズの店の入り口へと向かいドアを開けるといつもの様に、
♪カラン〜カラン〜カラ〜ン〜♪
とドアベルが店内に鳴り響き、俺達の来店を店内へと知らせてくれたのだった。
が、今日はいつもと違い…。
バフッバフッ!!
バフッバフッ!!
と聞き覚えのある犬の鳴き声が聞こえたので、
「今日はまーくんが居るみたいだな。」
と潤に言うと、
「えっ?
まーくんが?どこにいるんですか?」
と言いながら潤は店内をキョロキョロと見渡していたのだった。
まーくんの姿を探しているんだな…と思い、
「多分まーくんはカウンターの奥にあるあの扉の中に居るんだと思うよ。
ほら、あそこ。」
と言いながらカウンターの奥にある扉を指さすと、
「まーくん、あの中にいるんですねっ。」
と言うと潤はカウンターへと近付いて行った。
あともう少しで潤がカウンターの奥にある扉に到着する…という時…。
カウンターの奥にある扉がガチャッと開き、
「やあ、翔ちゃん、ジュンくんいらっしゃーいっ!!」
とカズが出て来ると素早く扉を閉めると、箸の様な細長い棒を扉に振りかざし、
「NARUKUTEDE!!」
と言うと、
「これでよしっ…。」
と小さな声で呟いたのだった。
アンティークショップ 〜紫の石〜 ㉒
⭐⭐to becontinued⭐⭐
翔くん、入所記念日おめでとうございます
これからも潤くんとイチャコラしている姿を見せていただけると、一部のマニアとしてはありがたき幸せです