アンティークショップ~紫の石~




































「翔ちゃん。
おすそ分け、ありがとうね。」



とカズはニコニコとしながらそう言うので、


「いや。
こちらこそ貰ってくれてありがとう。」


と言うとカズは、


「あ、入れ物返すのって翔ちゃんとジュンくんが今度来た時でも大丈夫かな?」


と聞いてきたので、


「ああ。
いつでも大丈夫だよ。」


と言うと、


「了解っ!!」


とカズはそう答えると、


「じゃあ、気をつけて帰ってね。」


と俺と潤に手を振ってそう言ったのだった。



「じゃあなカズ。」


「またね。
カズくんっ!!」


と俺と潤もカズに手を振りカズの店を後にしたのだった。


















アンティークショップ 〜紫の石〜 ⑳




















「「ただいまーっ!!」」


と家に帰り、潤と2人で手洗いとうがいを済ませると潤は、

「僕、お夕飯の準備しますね。」


と言うと、母が作った料理の入った紙袋を持って、トテテテテテテテッと走ってキッチンに向かったのだった。



「じゅーん。
もうそのまま食べれるから何もしなくて大丈夫だよ。」


と潤の後を追いかけて潤にそう言うと、


「しょおさん、温めて食べた方が美味しいですよ。」


と言いながらおかずの入った入れ物ををテーブルの上に並べ、


「しょおさん、今日はどれにしますか?」

と聞いてきたので、


「そうだなー。
あ、豚の生姜焼きがある。
これ、美味しいんだよ。」


と言うと潤は、


「僕も好きですっ!!」


と笑顔で言った。


「あとはー。
これとか…。」


「こっちも美味しそうですっ!!」



と潤と一緒にどれを食べるかあれこれ選ぶと、潤が手際よく次々とタッパーに入ったおかずをレンジで温め、その後皿に盛り付けてテーブルの上へ並べていき夕飯の準備を着々と進めてくれたのだった。








「「いただきますっ!!」」


と手を合わせて、炊き込みご飯を頬張り、



「あー、んめー。
潤が温めてくれたお陰でいつもより一層美味しいわー。」


と言うと潤はクスクスと笑いながら、

「しょおさん、いつも温めずに食べていたんですか?」


と聞いてきたので、

「ああー。
何か面倒で…。」  


と答えると潤は、


「お料理は温かいものは温めて食べた方が美味しいんですっ!!」


と言い、


「…と…。
まーくんが教えてくれました。」


とペロリと舌を出してそう言ったのだった。





まーくん…そんな事まで潤に教えてくれているなんて…マジで天才犬だよなーっ!?



と暫く逢っていないゴールデンレトリバーのまーくんの姿を思い起こしていると、潤が、








「しょおさん、豚の生姜焼き本当に美味しいですっ!!」


とニコニコと生姜焼きを頬張りながらそう言うので、



「そ、潤の口に合ってよかったよ。」



と言うと潤は俺の目を見て遠慮がちに…。




「あのー…。
しょおさん…。」


と言ってきたのだった。




「どうした?
潤?」


と潤の紫色の綺麗な瞳を見つめ返してそう聞くと、



「あの…。
えっと…。

今度、しょおさんのお母さんにお料理教えて貰えないですか…?」


と言ってきたのだった。


「えっ!?」


と驚いて返事をすると潤は綺麗な瞳を伏せて悲しそうな顔をして、



「ダメですよね…?」


と俯いてしまったのだった。




「いやっ…。
ダメじゃないよ。
お袋も大歓迎だと思うよ。

でも…潤は大丈夫?」


と言うと潤は顔をかしげて、



「ん?
何がですか?」

と聞いてきたので、



「ウチのお袋、絶対に潤にあれこれ聞いたりすると思うんだよね。
だから…そういうのが潤が嫌じゃなければいいんだけど…。」


と言うと潤はニコニコとして、


「僕、大丈夫ですっ!!」


と乗り出してそう言ったのだった。



「それならいいよ。
あとでお袋に連絡しておくよ。」


と言うと潤は、


「はいっ!!
お願いしますっ!!」



とペコリと頭を俺に下げ、そのあと小さな声で、


「それよりも…。
しょおさんに美味しいご飯を食べて貰いたいから…。」



とポツリと呟いたのだった。





もうっ!!


本当に可愛いよなっ!!



と思い、潤の頭に右手を伸ばし、


「じゅーん。
ありがとうな。」



と言い撫でてやると潤は目を細めて気持ちよさそうな顔をして、



「ふふふ。」



と嬉しそうに微笑んだのだった。











それからは週末になると俺の実家に行く事が増えたのだった。


実家行き、潤の為だけのピアノの演奏会を開催し、そのあとの時間は潤が俺の母から料理を教わるという週末を過ごすようになったのだった。













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