アンティークショップ~紫の石~














  














潤はコクンッと頷きカズに返事をするとカズは、

「そうか、そうか。
そんな事も出来るなんて相変わらずジュンくんは優秀だね。」


と潤の頭を撫でてやると、


「ふふふ。
カズくんに褒められちゃった。」


と嬉しそうに潤は微笑んでいたのだった。



そんな潤を愛おしそうに見つめるカズ。


そんなカズを俺は見つめながら…。




もしかしてカズにとって潤は大切な…愛おしい人なのでは…?



そう思うとなんとなく2人に近付くのを躊躇してしまい入り口のドアの近くで立ち止まっていると、カズがゆっくりと俺の方に顔を向け、




「翔ちゃん。
貴方いつまでそんな所に突っ立ってんのよ。
早くこっちにいらっしゃいよ。」

とニッコリと微笑むとそう言ったのだった。




邪魔するのは悪いので…。


とは言えずに、



「あ、ああ。」



と返事をすると、カズと潤の居るカウンターへと向かったのだった。
















 アンティークショップ〜紫の石〜 ⑬
















「さてと、アフタヌーンティーでも楽しみましょうか?」


とカズがそう言い箸の様な長細い棒を振りながらなにかブツブツと唱えると…。



カチャカチャッ…と食器類の重なる様な音がしたかと思うと…。



いつの間にかテーブルと椅子(売り物だよな…?)がセッティングされていて、そのテーブルには真っ白なテーブルクラスが敷かれていた。



そしてテーブルの上には3段タイプのケーキスタンドにティーポットやカップ、ソーサーが用意されていたのだった。(これまた売り物のティーポットやカップとソーサーに皿とフォークやスプーンだよな…?)



ケーキスタンドの1段目にはサンドイッチ、2段目にはスコーン、3段目にはケーキやゼリーといったスイーツ類がのせられていて、それ以外にもフィッシュ&チップスや小さなミートパイの様な物もケーキスタンドとは別に大きな皿に用意されていた。



アンティークの食器類が更に高級感を醸し出しており、



一体どんなホテルのラウンジに来たんだよっ!!


と驚きながら心の中でツッコミを入れていると、



「カズくん…。
スゴイですっ!!」


と潤の驚いているけれど、楽しげな声が聞こえた。



「んふふふ。
潤くんに喜んで貰えてよかったよ。」



と嬉しそうにカズがそう言うと、潤はブンブンッと顔を縦に振りテーブルに近づくと、ケーキスタンドの1番上にのせられているケーキを見つめると、



「うわぁーっ!!
しょおくんっ!!
モンブランがありますっ!!」



と言いながら振り返り、紫色の綺麗な瞳をキラキラとさせながら俺の顔を見つめるとそう言った。




「ふはっ。
よかったな潤。」



と言い、潤の頭を撫でてやると潤は嬉しそうに微笑み、


「はいっ!!」


と答えた。




潤の頭からそっと手を離すと、


「えー…。
もうお終いですか…。」


と潤が寂しそうな顔をしてそんな事をいうもんだから、


「もう、しょうがないな。」



と言い再び潤の頭を撫でてやっていると、




「コホンッ!!」


とカズが咳払いをし、


「目のやり場に困るからそんなにイチャイチャしないでくれます?」


とニヤニヤとしながらそう言ってきたのだった。



「イ、イチャイチャなんかしてないしっ!!
潤の頭を撫でてあげているだけだろうっ!!」


慌ててカズにそう言うと、潤はきょとんとした顔をして、


「ねえ。
イチャイチャってなぁ〜に?」


と大きくて潤んだ綺麗な瞳でジッと俺を見つめてそう聞いてきた。



か、可愛いっ!!


思わず潤に見惚れていると、


「ちょっと!!
見つめ合ったりなんかして…翔ちゃん、いい加減にしてよっ!!」


とカズはそう言うと、



「ジュンくん、おいでよ。
こっちに座ろうよ。」


と潤に優しく声を掛けると潤の手を引いて席に座らせた。


その隣にカズは座ると、


「翔ちゃんはそっちね。」


と潤とカズの向かい側の席を顎でクイクイッと指して俺に座る様に促したのだった。






俺も潤の隣に座りたかったのに、カズの奴ズルイよな…。



と不貞腐れながら席についたのだが…。



俺の向かい側に座っている潤が目が合うたびにニコニコと俺に微笑みかけてくれるもんだから、潤の隣に座っていたらこんなに可愛い潤の顔を見る事が出来なかったよなっ!?


と思い、さっきまでムカついていたカズに感謝したのだった。















 アンティークショップ〜紫の石〜 ⑬
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