アンティークショップ~紫の石~
こうして妖精の潤との共同生活が始まったのだった。
翌日…。
「潤、ただいまー。」
「しょおさんお帰りなさい。」
と潤が出迎えてくれ、2人で潤の作ってくれた夕飯を食べ終わると、
(因みに今日は煮込みハンバーグだった。今日の潤が作ってくれた料理もとても美味しかった♡)
「ねえ。
しょおさん…。」
と潤が俺の顔を見ながらそう言ってきたので、
「どうした?」
と聞くと、
「今日もまーくんが来てお料理を教えてくれたんだけど…。
帰る前に美味しいアイスクリームの話を聞いちゃって…。
それで僕もそれが食べてみたくて…。」
と言ってきたのだった。
「それはどこに売っているんだい?」
と聞くと潤は、
「まーくん、〝コンビニ〟とか〝スーパー〟で売ってるって言っていました。
〝ニャーゲンダッツのマロン味〟っていうのが期間限定で売っているそうです。」
とまーくんの情報を教えてくれたので、
「じゃあ…。
これから近所のスーパーに行ってみるかい?」
と潤に聞くと潤は、
「はいっ!!」
と嬉しそうに返事をしたのだった。
白いワンピースの様な服を着ている潤にクローゼットから自分の服を取り出し、
「潤、これに着替えて。」
と言いパーカーとジーパンを潤に差し出すと、潤はそれに着替えて、
「しょおさん、これでいいですか?」
とクルクルと回りながら聞いてきた。
買ったのはいいか着ていなかったクリーム色のパーカーは中性的な印象の潤によく似合っており、ジーパンの裾は少し長かった様でロールアップされていてこれまた可愛らしくて…。
「ふふ。
潤、可愛いよ。」
と言うと潤は頬を赤らめて少し照れていた。
「あとは羽根を昨日の様におさめる事は出来るかな?」
と聞くと潤はコクンと頷き、背中の白くて小さな羽根を昨日の様に仕舞うと、
「しょおさん、これでどうですか?」
と聞いてきたので、
「完璧だよっ!!」
と右手の親指を立ててそう言うと、潤も俺の真似をして右手の親指を立ててニッコリと微笑んでいた。
「あ、そうだ。
出かけるついでに鍵のかけ方やスーパーの場所や買い物の仕方を説明しようか?
潤は買い物の仕方を知っている?」
と聞くと、
「買い物…?
お料理の食材はまーくんが届けてくれるので、どうやって買うのかは知らないんです…?」
と潤がそう言ったので、
「じゃあ、食後の散歩がてら行きますか!」
と言うと潤は、
「しょおさんとお散歩ですかっ!?
嬉しいですっ!!」
と俺の顔を見て満面の笑みを浮かべてそう言ったのだった。
アンティークショップ〜紫の石〜 ⑨
スーパーまでの道のり、潤は外が珍しいのか辺りをキョロキョロと見渡しながら歩いており、フラフラとする潤が心配で、
「潤、危ないから手を繋ごうか?」
と言うと潤は嬉しそうに右手を俺に差し出してきたので、その手をギュッと握りしめてスーパーへと向かったのだ。
スーパーへと到着するとカートを見つけた潤は、
「しょおさん。
コレなぁ〜に?」
と聞いてきたので、
「ああ。
カートだよ。
こうやってカゴを乗せてからここをもってこうやって押して買い物をするんだよ。」
と教えてあげると潤は早速カートを押しながら、
「しょおさん。
コレ楽しいです♪」
とスーパーの中を楽しそうに歩いていたのだった。
店内を物珍しそうにキョロキョロと見渡し、一緒に何が何処にあるのかを見ながら店内を回り、潤の目的の〝ニャーゲンダッツ〟のマロン味を見つけてカートに乗せたカゴに入れるとレジへと向かった。
レジでの支払いも潤に教えながら支払いを終えると、潤は綺麗な瞳をキラキラとさせながら、
「しょおさん。
楽しかったです!!」
まるで子供の様に無邪気にそう言ったのだった。
「「ただいまーっ!!」」
家に帰り、
「どうする?潤。
アイスクリーム、今から食べる?
それとも風呂上がりに食べる?」
と聞くと、
「ん〜?」
と潤は暫く考え、
「お風呂上がりに食べますっ!!」
と言ったので、
「じゃあ、コレは冷凍庫に入れておいてくれるかい?」
と言うと潤は冷蔵庫へと向かった。
その間俺は風呂に湯をため風呂の準備をした。
《♪♫♩♪♫♩♪♫♩♪♫♩》
風呂に湯がたまった事を知らせる音楽が流れると、
「しょおさん。
お仕事で疲れているから先に入ってください。」
と言ってくれた潤のお言葉に甘えて先に風呂に入った。
風呂からあがり、
「潤ー。
お風呂どうぞ。」
と言うと潤は、
「はーい。」
と言い用意してあげていた着替えを持ってトテテテテテテテッと風呂へと向かったのだった。
風呂上がりにビールを飲みながらテレビを見て潤があがるのを待っていると…。
「しょおさん。
あがりましたー。」
と、髪がビシャ濡れままの潤がやってきたのだった。
「こーら、潤。
髪がまだ濡れたままだから風邪引くぞっ!!」
と言い洗面所からドライヤーを持ってきて、
「ほら。
ここに座って。」
とリビングの床に潤を座らせると自分はソファーに座り、タオルで潤の頭をゴシゴシと拭くと、
「しょおさん…。
痛いっ痛いですっ!!」
と潤が俺の手をトントンと叩いてそう訴えてきたので、
「ああ。
悪い、悪い。」
と言い、ドライヤーの熱風で潤の髪を乾かしてやると、潤は顔を少し上に向け俺から顔が見える体勢を取ると猫の様に目を細めて
「しょおさん…。
気持ちいいですー。」
と、気持ちよさそうにそう言ったのだった。
「それはよかったです。」
と言い、柔らかくて少しクセのある潤の髪に指を通しながら、髪を乾かしてあげていると…。
同じシャンプーを使っている筈なのに…潤からは甘くて良い香りがして…。
フワフワの髪に白くて綺麗なうなじ…、ここに口づけをすると赤い印が綺麗につくんだよな…。
と思いながら、髪を乾かす手を止めて…。
潤のうなじに唇を近づけようとしたその時…。
「しょおさん。
もうお終いですか?」
と潤がくるりと振り向き、慌てて潤から少し離れてドライヤーを止め、
「ああ…。
も、もうお終いだよ。
潤、アイスクリームを食べていいよ。」
と慌ててそう言うと、
「はーい。」
と潤は瞳をキラキラとさせて返事をすると、すくっと立ち上がりキッチンへと向かったのだった。
や、ヤバい…。
心臓がバクバクとしたまま、ソファーに深く座り直し、
お…俺…。
今、何をしようとした…?
何やってるんだよ俺っ!!
「はぁーーーーーっ…。」
目をつぶり深いため息をつくと、頬にヒヤリとした感触があり…。
「冷たっ!!」
と言いながら慌てて目を開けると、そこには嬉しそうにニャーゲンダッツのアイスクリームとスプーンを持った潤の姿があり、
「しょおさん、一緒に食べましょうねっ!!」
と言うと潤は俺の隣に座ると、
「はい。
これしょおさんの分です。」
と、アイスクリームとスプーンを手渡してくれたのだった。
アンティークショップ〜紫の石〜 ⑨
⭐⭐to becontinued⭐⭐