アンティークショップ~紫の石~
アンティークショップ〜紫の石〜 ⑦
食事が終わると潤が、
とモンブランに話しかけていたのだった。
アンティークショップ〜紫の石〜 ⑦
「「ごちそうさまでしたっ!!」」
食事が終わると潤が、
「しょおさん。
食後のデザートたべましょうねっ!!」
と言い冷蔵庫潤から〝Angel J〟のケーキの入った箱を取り出すとテーブルへ持ってきた。
「皿とフォークを用意するな。」
と言い立ち上がると、
「じゃあ、僕はコーヒーをいれますね。
しょおさんホットでよかったですか?」
と潤に聞かれて、
「ああ。
ホットでお願いするよ。」
と答えた。
食器棚から皿とフォークを取り出していると、キッチンにはコーヒーのいい香りが漂っていた。
コーヒーを入れ終わった潤が、ケーキの箱をそぉ〜と開け箱の中を覗き込み、
「うわぁーっ!!
美味しそうっ!!」
と言いながら、背中の小さな白い翼をパタパタとさせていた。
潤は箱の中に2個ずつ入っているモンブランとチーズケーキを見ながら、そ〜と手を伸ばし、
「2種類あるから2種類ずつをお皿にのせて…。
うわっ!!
コレ…柔らかい…。
潰さない様に…。」
と(独り言?にしては大きな声で)言いながら潤はケーキを2種類ずつゆっくりと皿に乗せると、
「はい。
しょおさんどうぞ。」
とケーキの乗った皿を俺に手渡してくれた。
「潤、ありがとう。」
と言いながら受け取り、
「「いただきますっ!!」」
と手を合わせてケーキを一口食べると、潤は大きな目をまん丸にして、
「美味しいーっ!!
おい、お前っ!!
美味しいぞっ!!」
とモンブランに話しかけていたのだった。
アンティークショップ〜紫の石〜 ⑦
潤はモンブランをペロリと食べてしまいモンブランの無くなった皿を名残惜しそうに見つめているので、
「潤。
よかったら俺のも食べる?」
と聞くと潤は分かりやすく弾けるような笑顔になった。
が…。
「でも…それじゃあ、しょおさんのケーキが…。」
と俺の事を心配してくれるので、
「いいさ。
俺は元々モンブランよりチーズケーキの方が好きだし。」
と言うと潤は、
「それじゃあ…。」
と遠慮がちに皿を俺の方に差し出した。
「はい、どうぞ。」
と言い、潤の皿にモンブランを乗せてやると、
潤はモンブランを味わいながら、
「ん〜っ!!
お前本当にNO 1だな〜っ!!」
と幸せそうな顔をして背中の白い小さな翼をパタパタとさせながら、そう言ったのだった。
そんな潤の様子を見てカズが、
『あの子モンブランが大好きだから。』
と言っていたのを思い出し、
「ふはっ!!
カズが言っていた通り、潤はモンブランが大好きなんだな。」
と言うと潤は不思議そうな顔をして、
と言うと潤は不思議そうな顔をして、
「モンブラン?」
と言うので、
「今、潤が食べているケーキだよ。」
と教えてあげると、
と言うので、
「今、潤が食べているケーキだよ。」
と教えてあげると、
「モンブラン…。」
と呟きモンブランをジッと見つめていた。
それから、
「うん。
僕、モンブラン大好きっ!!」
と満面の笑みを浮かべてそう言ったのだった。
と満面の笑みを浮かべてそう言ったのだった。
そんな潤の様子を見てカズは潤がモンブランが好きだと言っていたのに、潤はモンブランは好きだけど知らなかったっぽいよな…?
どういう事なんだろうか?
と考えていると、
「それよりも…しょおさん…。」
と潤がキラキラとした瞳で俺に話しかけてきたので、
「ん?
どうした?」
と言うと、
「今日…。
しょおさんはカズくんに逢ってきたんでよね?」
と潤は嬉しそうな顔をして、背中の白い小さな翼をパタパタッパタパタッと羽ばたかせながらそう聞いてきたのだ。
「ああ。
逢ってきたよ。」
と答えると、
「カズくん、元気でした?」
と聞いてきた。
「ああ。
元気そうだったよ。」
と言うと、
「元気でしたか。
僕もカズくんに逢いたかったなー。」
と寂しそうに言うので、何だか胸がズキンと痛く感じたのだった。
なんだろう?
この感じ…。
と思いながらも、
「じゃあ、今度潤も一緒に逢いに行こな。」
と言うと潤は、
「はいっ!!」
と頷いたのだった。
潤にカズに逢わせる約束をしたのはいいが、何かモヤモヤするんだよな…。
モヤモヤ…?
いや…イライラ…?
何なんだろうかこの感情は…。
と戸惑っていると、
「ところで…。
しょおさんは何でカズくんに逢いに行ったんですか?」
と潤に聞かれて、
「あ〜。
それは〜…。」
どう答えようかと悩んでいると…。
「それは?」
潤はジッと俺の目を見ながら俺が答えるのを待っているので…。
ああ…。
もう仕方ないか…。
と思い、
「実は…。
妖精の潤が何を食べるのか分からなかったから…。
潤に変な物を食べさせてお腹壊してもいけないし…。
それでカズ聞きに行ったんだよ。」
と言うと潤は、
「僕の為にだったんですかっ!?」
と両手で頬を押さえて嬉しそうな顔をしてそう言い、
「ふふっ。
僕は普通にしょおさん達が食べる物を食べるから大丈夫ですよ。」
とニコニコとしながらそう言ったのだ。
「みたいだよなー。
でもさ、妖精なんて逢う事がないから分からなくて…。
潤が食べる物がなくてお腹を空かせてしまったら可哀想だと思って…。」
「僕の事を心配してくれたんですね。
嬉しいです。」
と言いながら、背中の白い小さな翼をパタパタと羽ばたかせていた。
その白い小さな翼を見て、
「潤の翼って本当に妖精なの?
どう見ても天使のみたいだよな。」
と言うと、
「だから、僕は天使さんじゃないんですってば…。
それに僕のコレは〝翼〟ではなくて〝羽根〟なんです。
天使さんの翼はもっと大きくて立派なんですよ。」
と言ってきた。
そう言われても妖精の羽根がそんな鳥の様な翼だなんて…。
妖精を見た事はないが、テレビや映画や本などに出てくる妖精といえば透明な羽根だし…。
潤のはどちらかというと天使に近いと思うんだよな…。
と思い、
「えっ?
潤のソレはどう見ても〝翼〟だろう?
天使や鳥みたいな〝翼〟だし。
妖精の〝羽根〟はもっとこう透明で…。」
と言うと、
「透明で…?」
と潤が聞き返してきて、
なんて表現をしようかと悩み…。
パッと頭に浮かんだのが…。
「あっ!!
そう、そうだよっ!!
トンボみたいに透けてるのが妖精の〝羽根〟だよっ!!
昆虫的な…?」
と言うと潤は一瞬にして眉間にシワを寄せると、
「トンボの〝羽〟ですか?」
と聞いてきたので、
「うん、そう。」
と頷くと、
「僕…。
虫が苦手なのでそれはちょっと…。」
と心底嫌そうな顔をしてそう言ったのだった。
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