かずと一緒にお団子のお粉をこねているとこだまちゃんが、



「和ちゃん、潤ちゃん。
これくらいの固さになればいいからね。」


と言って、こだまちゃんがこねていたお団子の生地を、かずと僕に触らせてくれました。



「固さは…。」


「これくらい。」



と2人で言いながら、こだまちゃんが置いてくれた見本のお団子の生地と自分達のお団子の生地を交互に触りながら、生地をこねていき…。




「あっ。
こだまちゃんのと同じくらいになったよっ!!」



「僕もっ!!」



と言うと、こだまちゃんは、



「じゃあ。
こうやって丸めていってくれるかな?」



と言うとお団子生地を手でちぎると、両手の手のひらを合わせてクルクルと丸い形にしていき、


「ほら。
こんな感じで。」


と言って、和と僕に見せてくれました。



「うわぁー。
お団子になりましたー。」



「美味しそうだねー。」



と言いながらこだまちゃんの作ったお団子を見ながら、かずと僕も丸いお団子を1つ作ると、
(あ…。僕のは少し形が悪くてまん丸ではないのですが…。)




「うわーっ!!
2人とも上手ねー。
じゃあ、出来上がったお団子はここに置いていってね。」



と言い、長方形の銀色の入れ物を何個か用意してくれました。




「潤くん、俺も潤くんの黄色のお団子が作りたいから、半分こしてもらってもいいかな?」



とかずが聞いてきたので、僕も白いお団子が作りたかったので、


「うん。
僕も白いお団子が作りたいから、半分こしようね。」


と生地を半分ずつにしていると、



「和ちゃん、潤ちゃん。
私の分も一緒にお団子作ってもらってもいいかしら?」


と言ってこだまちゃんがお団子の生地の入ったボウルを、かずと僕の前に差し出してきたので、



「「うん、いいよー。
こだまちゃん。」」



と答えると、こだまちゃんはニッコリと微笑み、



「ありがとう。
じゃあ、私はあんこやみたらしのタレを作るわね。」


と言い、こだまちゃんはその準備を始めました。




クルクル…クルクルと丸めて作るお団子作りは楽しくて、


「みたらしのタレ…という事は…。
みたらし団子が食べれるだー。」


と言うと、かずがクスクスと笑いながら、


「潤くん、みたらし団子好きだもんね。」


と言ってきたので、



「うんっ!!
大好きっ!!」


と答えると、こだまちゃんが嬉しそうな声で、



「潤ちゃん、楽しみにしていてね。」



と言ってきたので、


「はいっ!!
楽しみにしてますっ!!」


と頷いたのでした。








かずと2人で手分けをして、ボウルのお団子の生地を全て丸くして、最後の一個を作り終えると、


「「こだまちゃーん。
お団子出来たよー。」」


と、言いこだまちゃんにお団子作りが終わった事を知らせしました。



するとこだまちゃんが、



「じゃあ、今度はそれをこのお鍋の中に入れてくれるかな?
火傷しないように気をつけてね。
暫くしたら浮いてくるから、それをすくってこっちのお水で洗ってくださーい。」


と、火にかかったお鍋と、流しに用意されているザルとボウルを指してそう言いました。




「「はーい、こたまちゃん。」」



と、かずと返事をして、お鍋の中でグツグツと煮えたぎっているお湯の中にそぉーっとお団子を入れて、浮いてきたらすくい上げて流しに置いてあるザルとボウルに移してお水で洗い流して…。





お団子の水気を切ったら…。



「はーい。
お月見のお団子の完成でーすっ!!」


と、出来上がったお団子を見てこだまちゃんがそう言いました。






「「わーいっ!!」」



「上手く出来たねー。」


「そうだねー。」


とかずと2人で喜びました。






 

お月見のお団子が出来たという事は…。






このお団子を満月のお月様にお供えをするんですよね…?







僕はこの間神様から、とってもいい事を聞いたんです。





お月様にはウサギさんが住んでいて、十五夜の夜にお団子をお供えすると…。


お月様に住んでいるウサギさんがお団子を食べに来てくれるんですっ!!


なので、こだまちゃんからお月見のお団子作りをする事を聞いた時から、僕は密かに楽しみにしていたんですっ!!
  


きっと今夜はお月様に住んでいるウサギさんに逢えるんだと…。



    






一応こだまちゃんにも確認をと思い…。





「ねえ…、こだまちゃん。」



「なぁに?
潤ちゃん。」



「このお団子は十五夜のお月様にお供えするんだよね?」



「そうよ。
それがどうかしたの?」


とこだまちゃんが首を傾げて聞いてきたので、



「…だったらお月様にいるウサギさんがお団子を食べに来てくれるんですか?
神様がこの間そう言っていたんです。」
  

と言うとかずが、


「はあっ!?
神様のヤツ…。」

と言い、何かを言おうとしたのですが、こだまちゃんが、


「そうねー。
お月様のウサギさんは恥ずかしがり屋さんだから、なかなか姿を現してくれないかも知れないけど…。
もしかしたら今日は来てくれるかもしれないわよねー。」



と、お話しを始めたのでかずはそれ以上何も言いませんでした。





「潤ちゃん、もしも今日ウサギさんが現れなくてもガッカリしないでね。
恥ずかしがり屋のウサギさん達に逢うには気長に待つしかないから、今年逢えなくても来年のお楽しみにしましょうねっ!!」


とこだまちゃんがニッコリと微笑んでそう言ったので、僕は、


「うん。
こだまちゃん、僕気長に待ちますっ!!」


と言いました。




かずは何だか変な顔をしているのですがどうしたんでしょうね…?





首をかしげてかずを見るとかずはニコッと微笑んでくれていつものかずの顔になりました。





そんな僕達の様子を見ながらこだまちゃんはニコニコとして、



「さてと。
お月様にお団子をお供えする前に…。
ちょっとお団子のお味見しちゃおうか?」



と言うと、食器棚へとお皿を取りに行ったのでした。








その時…。




お団子を並べている大きなお皿を目がけて、白くてフワフワとした小さな手がテーブルの下からスゥーーッと伸びてきて…。


むぎゅっ!!


とお団子を掴むと、その手はサッと引っ込められたのでした。







「えっ!?」



「今のなに…?」



とかずと2人で驚いていたのですが…。



白くてフワフワとした小さな手といえば…。



1匹しか思い当たらないですよね…?









かずと顔を見合わせて、




「「今のって嵐?」」


と声を揃えてそう言いました。


かずも同じ事を考えていたみたいで、猫の嵐しか心当たりがなくて…。






かずが直ぐに、



「こらっ!!
嵐っ!!待てっ!!」




と言いながらテーブルの下にしゃがみ込んだのですが…。






「えっ!?
もう居ない…。」


と呟いたので僕もテーブルの下にしゃがみ込んだのですが何もいなくて…。




「いないです…。」




と呟き、ふと台所の扉を見ると、いつの間にやらほんの少し開いていて、



「かず。
扉が開いているから、嵐はもう出て行っちゃったのかもしれないよ。」


と言うとかずは立ち上がると扉の方に向かい、



「嵐ーっ!!待てーっ!!」


と台所から廊下へと出ようとすると…。



ドンッ!!



と誰かとぶつかったのでした。









「あっぶねーな、和っ!!
嵐が潰れる所だったじゃねーかよっ!!」



神様は嵐の両脇をひょいっと掴み、神様の頭の高さまで持ち上げるとのんびりとした声でかずにそう言ったのでした。









嵐を見つけたかずが、



「あーっ!!
嵐いたーっ!!
嵐お前、お団子返せよっ!!」



と言うと神様と嵐は、




「団子ー?
何の事だよ。」



ミャーミャー?
ミャーミャー?


とかずに聞いていました。








「さっき嵐がっ!!」


「テーブルの上にあったお団子を持っていっちゃったんですっ!!」


とかずと2人で神様に説明をしていると、お皿を持ったこだまちゃんが、



「あら、大ちゃん、嵐ちゃんいらっしゃい。」



とニコニコとしてそう言うと、こだまちゃんを見つけた嵐が神様の腕の中からピョ〜ンと跳ねて飛び降りると、



ミャーミャーミャー




とこだまちゃんの足元に戯れついて、こだまちゃんにご挨拶をしていたのでした。




























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