潤くんを見送った後、俺はポケットからモバイルを取り出し、画面に表示された履歴をスクロールさせてさとちゃんの名前を見つけると、画面を左手の人差し指でポンッとタップした。


すると、



プルルルルル…プルルルルル…プルルルルル…



と呼び出し音が暫く鳴った後、




「はい、もしもし。
和、どうした?」



と言うさとちゃんの声が聞こえた。



「あ。
さとちゃん今、話しても大丈夫?」


と聞くとさとちゃんはいつもののんびりとした声で、


「ああ。
大丈夫だ。」

と言った。






「さとちゃん、あのさ…。
明日って木曜日だから、さとちゃんの所の病院って午後から休診だよね?」



「そうだけど…。
それがどうかしたのか?」



「いや…。
だったら俺が学校が終わるくらいの時間は、さとちゃん暇してるよね?」



「暇って…。
お前なぁ…。
まあ、急患が居なければ暇しているか…。」



「だったら明日、俺が学校が終わってから付き合ってよ。」



「いいけど…。
…何があるんだよ…?」


さとちゃんはどうやら俺がとんでもない事をお願いするんじゃないかと思っているみたいで、警戒をした声でそう聞いてきた。




「あー。
安心して。
さとちゃんに新作のゲームを買ってとか、おねだりをするんじゃないから。」


と言うとさとちゃんはいつもののんびりとした声に戻り、




「あー。
それなら安心だなー。
お前から誘ってくる時はロクな事がないからなー。」


と言った。




でもさとちゃん…。

『ロクな事がない。』は言い過ぎでしょう?
と思い、



「ちょっとっ!!
さとちゃん失礼だなっ!!」


と言うとさとちゃんは、



「んふふふふふ。」

と笑っていた。



「ホント酷いよねっ!!」


とさとちゃんに言うと、


「んふふふふふ。
だって本当の事だろう。」



とさとちゃんは笑いながらそう言った。





「もういいよっ!!」


と俺が拗ねてそう言うと、



「で、何があったんだ。」


さとちゃんは笑うのをやめてそう聞いてきた。





さとちゃんに話したい事を電話で伝えようかとも思ったが…。


潤くんに、翔ちゃんが黒い柴犬のショコラだとバレていた事や、さとちゃんちゃんには色々と話したい事や聞きたい事があったので、さとちゃんに直接逢って話しをした方がよいと思い、





「詳しくは逢ってから話しをするけど…。
翔ちゃんと潤くんの事でちょっと気になる事があってさ…。」


と言うと、


「あ、ああ…。
じゃあ明日、和の学校が終わってから甘味処櫻松にでも久しぶりに行くか。」


察しのよいさとちゃんは、それ以上何も聞いてこなかった。




「『久しぶりに』って、さとちゃんはしょっ中行っているでしょう?」


と言うとさとちゃんは、

「んふふふふふ。
バレてたか。
まあ、あそこならゆっくり話しが出来るし、美味しい和菓子も堪能出来るから決定な。
秋だから栗やさつま芋を使った和菓子かなー?
どんなのか楽しみだなー。」


と笑いながら、もう和菓子の事を考えるのに夢中になっていたのだ。






「用件は済んだから、さとちゃん切るよ。」


と言うとさとちゃんは


「ああ。
かず、また明日な。」


と言い俺も


「さとちゃん。
また明日ね。」

と言い、モバイルをタップして通話を終了させた。






「さてと、帰るとするか…。」




と呟き、


今日は色々あって疲れたな…。


と思い、



「んーーーっ!!」


と言いながら思いっきり伸びをして空を見上げた。


夜空に浮かぶ満月を見ながら、翔ちゃんといい潤くんといい新月にお願い事をして満月の夜に願い事が叶うだなんて、何でそんな事を言うんだろうか?



あの人達は一体誰からそんな事を聞いたんだろう?


もしかしてさとちゃんの言っていた翔ちゃんの『探し人』と何かが関係あるのかな…?



満月を見ながら暫くそんな事を考えたあと…。



「さてと。
お腹も減ったし帰ろうかな。」



と呟き自分の家へと向かったのだ。

















⭐to becontinued⭐











 


お話を読んでくださって、ありがとうございますおねがい


昨日は潤くんのEnjoyの更新がありましたねラブラブラブ

なかなか潤くんの姿を見ることは出来ないのですが、毎月更新されるEnjoyが楽しみですキラキラ

桜の花びらの舞う中にいる潤くんを想像するだけで、うっとりしてしまいました桜