深い深い海の…  〜22〜



























「潤さん…。」


と俺の名前を呼びながら翔くんがやって来て、ギュッと俺を抱きしめてくれた。




「翔くんが無事でよかった。
目が覚めた時に隣に翔くんが居なかったから、夢かと思ってしまったよ。」




と言うと翔くんは、大きくて綺麗な瞳で俺を見つめると、



「夢じゃないよ。
現実だよ。」



首を傾けて可愛い顔で俺の顔を覗き込んできた。




ああ…。


翔くんの顔、やっぱり可愛いな…。




と見惚れていると、



「潤さん…。
おはようのキスがまだだったよね…?」




と翔くんが満面の笑みを浮かべてそう言ってきた。




「あ、そうだったね。」



と言い翔くんの頬に、



「翔くん、おはよう。」




と言いキスをすると、





「潤さん。
違うよこっち。」



と言い、翔くんが右手の人差し指でそっと俺の唇に触れていたのだ。





え…?


ええ…?



ええーーーーーーっ!?





そ、そっちっ!?





それは…さっきも…したよね…?


ってか何度も翔くんとキスをするなんて、恥ずかしい過ぎて俺の心臓が持たない…。





と思い慌てて、


「あ…ああ…。
でも…。
あの…。
その…。
そ、それなら…さ、さっきもしたよね…?」




としどろもろどろになりながらそう言うと、翔くんは頬を膨らませて口を尖らせると、



「さっきのは、潤さんお帰りなさいのチューだから、おはようのキスじゃないもんっ!!」



と拗ねた顔をしてそう言った。







拗ねた顔も可愛いっ!!



俺はきっと目をハートにして翔くんの顔を見つめていると…。







翔くんの可愛くて…そして綺麗な顔が俺の顔に近付いてきて…。







あともう少して唇が触れようとしたその時…。







































グゥーーーーーーッ!!




と俺のお腹が鳴ってしまったのだった…。





翔くんは大きな目を更に大きく見開いた後、





「ふはっ!!
ハハハハハッ!!」



と笑うと、



「潤さん、ご飯食べようか?」


と聞いてきたので、俺は真っ赤になりながら俯いてコクンと頷くと、



「じゃあ、リビングに行こうか?」



と言い翔くんが手を引いてくれてベッドから立ち上がると、




「潤さん、おはよう。」



と言い不意打ちにチュッと唇にキスをされたのだった。





もう、俺恥ずかし過ぎて倒れそう…。









翔くんのキスは嬉しいけれど恥ずかしい過ぎて、頭がクラクラしながら翔くんに手を引かれてリビングへと向かった。
















リビングの扉を開けて中に入ると既に食事の用意がされていて、其処には和也くんと雅紀くんと…そして大野さんの姿があったのだ。




「大野さんっ!?
何でっ!?」



と言うと、



「そりゃあ、潤。
お前が心配だったからさ。」



と大野さんはふんわりと笑いながらそう言った。



どうやら大野さんは俺の様子を見る為に、自宅と俺の家を行ったり来たりしてくれていたらしいのだ。





「大野さん…。
心配かけてごめんね…。」




と言うと、




「そんな事気にするなよ。
それよりも飯食って元気になれっ!!」




と言われてローテーブルに目をやると…。





テーブルの上にはズラリと大野さんが作ってくれた料理が並んでおり、海の幸が多い様な気がしたので、




「大野さん、釣りに行ったの?」



聞くと、



「いや、行ってないぞ。」


と大野さんはそう答えた。







「でも、やたらと海の幸が多くない?」



と言うと、




「「「「ああー…。
それね…。」」」」




4人が声を揃えてそう言い、大野さんが窓を見ながら、



「潤への貢ぎ物だな。」


と言うと窓の外でビーチボールくらいの大きさの黒い何かが、
(それも複数…。)



ガサガサガサッ



と動き去って行ったのだ。




「い、今の何?」



と聞くと、



「ああ…。
あれね…。」


「あの子達はね…。」


「アイツらかー…。」


と翔くん、雅紀くん、大野さんが言うと、




「あれは、俺の海の魔物です。」



と和くんが答えてくれたのだ。






「海の魔物って…。
悪い奴ら…?」



と恐る恐る聞くと、



「海で悪さしない様に俺の手下にしてちゃんと躾してるから、悪さはしないから大丈夫ですよ。」


と和也くんはニッコリと微笑みながらそう言った。






それを聞いた大野さんが、


「和也。
お前って一体何者なんだよ?」


と聞くと和也くんらケロリとした顔で、



「俺?
俺は海の魔女ですよ。」


と答えた。





すると雅紀くんが、


「和くん、違うでしょう?
僕達は海の魔女のおばあちゃんの弟子で…」

と言っていると、その言葉を遮る様に翔くんが、


「雅紀、お前…。
それ本気で言っていたのか?」



目をまん丸にして驚いた顔をして雅紀くんにそう言うと、



「えっ!?
翔ちゃん、どう言う意味?」


と雅紀くんはキョトンとして翔くんにそう聞いた。



「雅紀、お前は和が海の魔女の弟子だと思っているのか?」



と聞かれた雅紀くんが


「思っているかって翔ちゃん変な事を言うね。和くんと僕は海の魔女のおばあちゃんの弟子だよ。
ねぇー、和くん。」



と言うと…。







 

んふふふふふ。



ふはっ!!
ハハハハハッ!!




と和也くんと翔くんが大笑いをしたのだった。





「どういう事っ!?
何で和くんも翔ちゃんも笑うのさっ!!」



雅紀くんが目をウルウルさせながらそう言うと、和也くんがニヤリと笑って、



「だからまーくんはいつまで経っても助手なんですよ。」


と言った。




「何でっ!?」


と雅紀くんが和也くんに詰め寄ると、



「海の魔女はこの俺なんですから。」


と和也くんが左手の人差し指で自分を指差してそう言うと…。





「あ。
そっか、そうそう。
って、ええーーーーーーーっ!?」


雅紀くんの驚く声が家中に響き渡り、そんな雅紀くんを和也くんはニヤニヤとしながら腕組みをして満足そうに眺めていたのだった。



















⭐to becontinued⭐