深い深い海の… 〜15〜
和也くんはそのまま翔くんと雅紀くんの所へ行くと、
「翔ちゃん、まーくん。
到着したよ。
こっちに来て。」
と言いデッキに2人を呼んだ。
翔くんは雅紀くんに背負われてやって来て、デッキに到着すると雅紀くんの背中をトントンと叩いて降ろして貰った。
フラフラとしながらお魚の足でデッキの床の上に降り立つと、ピョコンと跳ねながら俺の所にやって来ようとしたが、
「翔ちゃん、お願いっ!!
潤ちゃんの所にはいかないでっ!!」
と雅紀くんに腕を掴まれて止められてしまったのだ。
翔くんの眉間の皺はますます険しくなって、翔くんは不機嫌そのものだった。
操縦席から大野さんもやって来て、
「なんだーっ!?
お前らなんか険悪な雰囲気だなー。」
と呑気な声でそういっていたが目は笑っていなかったので、勘のいい大野さんはきっと何かに気付いているんだと思う…。
「和也くん…。」
声が出ないと思っていたが和也くんの名前を呼ぶと声が出て、喉に手を当てて、
「声が出る…。」
と驚いていると和也くんが、
「途中で潤くんが余計な事を言って船が引き返す事だけは避けたかったので、ちょっとばかり魔法をかけさせて貰っていました。」
とニッコリと笑ってそう言った。
身体は重いけれど何とか動かそうなので翔くんの所に行こうとすると、和也くんの左手で制されて、
「それはダメです。」
と言われてしまい、
「何で…?」
と聞いても和也くんは微笑んでいるだけで、何も答えてはくれなかった。
和也くんは綺麗な色素の薄い茶色の瞳で空を見上げると、
「さてと…。
あと30分ちょっとで夜も明けて朝日が昇りますね。
ねえ、翔ちゃん。」
と和也くんがそう言いながら翔くんをみると、翔くんは和也くんから顔を背けた。
「翔ちゃん…。
どうするかもう決めましたか…?」
和也くんが翔くんに問いかけると、翔くんの手にはいつの間にか握られていたキラキラと綺麗な装飾の施されたナイフが手に握られており、そのナイフを翔くんは海へと投げ入れた。
が…。
和也くんがパチンッと左手で音を鳴らすとナイフは海に落ちる寸前でピタリと止まったかと思うと、和也くんが左手を空に向かって上げるとナイフは宙を浮いて和也くんの左手へと吸い寄せられるかの様に飛んでいったのだ。
「翔ちゃん。
そうきましたか。」
と和也くんはそう呟くと、今まで見たことのないくらい冷たい目で俺を見つめてきて、
「潤くん、これから素晴らしいイリュージョンを見せてあげますよ。」
と言いながら、和也くんはニッコリと笑った。
でもその目の奥は冷たくて…全く笑っていなくて…。
嫌な予感しかせず…。
戸惑いながら和也くんを見つめていると、和也くんは左手の手のひらを広げて口元へと持っていき、手のひらを上に向けてフゥーーッと吹くと、綺麗な七色のシャボン玉がフワフワと空を舞った。
あまりにも綺麗で幻想的なそのシャボン玉を見つめていると、いつの間にか翔くんが両手を広げて俺の前に背中を向けて立っていた。
翔くん…何だか悲しそうな瞳で俺をチラリと見つめると直ぐに前を向いた。
シャボン玉が次々と俺達の方へと流れてきており、それを翔くんが必死に手で払い除けていたのだが…。
そのうち1つが俺の上と飛んできて、キラキラと虹色に光るシャボン玉は綺麗で見つめていると手を伸ばしたくなってしまい、思わず手を伸ばしてしまったのだ…。
すると、ドンッ!!と翔くんに突き飛ばされたかと思うと、翔くんがシャボン玉の中に吸い込まれてしまい、シャボン玉は少しずつ少しずつ大きくなり、スッポリと翔くんを包み込んでしまったのだった。
「翔くんっ!!」
と叫ぶと和也くんがやって来て、
「ふふふ。
狙いは翔ちゃんだったんだよ…。
潤くんに気を取られてしまいましたね。」
クスクスと笑いながら和也くんは冷たい目で俺を見つめてきたのだった…。
⭐to becontinued⭐
深い深い海の… 〜15〜
和也くんはそのまま翔くんと雅紀くんの所へ行くと、
「翔ちゃん、まーくん。
到着したよ。
こっちに来て。」
と言いデッキに2人を呼んだ。
翔くんは雅紀くんに背負われてやって来て、デッキに到着すると雅紀くんの背中をトントンと叩いて降ろして貰った。
フラフラとしながらお魚の足でデッキの床の上に降り立つと、ピョコンと跳ねながら俺の所にやって来ようとしたが、
「翔ちゃん、お願いっ!!
潤ちゃんの所にはいかないでっ!!」
と雅紀くんに腕を掴まれて止められてしまったのだ。
翔くんの眉間の皺はますます険しくなって、翔くんは不機嫌そのものだった。
操縦席から大野さんもやって来て、
「なんだーっ!?
お前らなんか険悪な雰囲気だなー。」
と呑気な声でそういっていたが目は笑っていなかったので、勘のいい大野さんはきっと何かに気付いているんだと思う…。
「和也くん…。」
声が出ないと思っていたが和也くんの名前を呼ぶと声が出て、喉に手を当てて、
「声が出る…。」
と驚いていると和也くんが、
「途中で潤くんが余計な事を言って船が引き返す事だけは避けたかったので、ちょっとばかり魔法をかけさせて貰っていました。」
とニッコリと笑ってそう言った。
身体は重いけれど何とか動かそうなので翔くんの所に行こうとすると、和也くんの左手で制されて、
「それはダメです。」
と言われてしまい、
「何で…?」
と聞いても和也くんは微笑んでいるだけで、何も答えてはくれなかった。
和也くんは綺麗な色素の薄い茶色の瞳で空を見上げると、
「さてと…。
あと30分ちょっとで夜も明けて朝日が昇りますね。
ねえ、翔ちゃん。」
と和也くんがそう言いながら翔くんをみると、翔くんは和也くんから顔を背けた。
「翔ちゃん…。
どうするかもう決めましたか…?」
和也くんが翔くんに問いかけると、翔くんの手にはいつの間にか握られていたキラキラと綺麗な装飾の施されたナイフが手に握られており、そのナイフを翔くんは海へと投げ入れた。
が…。
和也くんがパチンッと左手で音を鳴らすとナイフは海に落ちる寸前でピタリと止まったかと思うと、和也くんが左手を空に向かって上げるとナイフは宙を浮いて和也くんの左手へと吸い寄せられるかの様に飛んでいったのだ。
「翔ちゃん。
そうきましたか。」
と和也くんはそう呟くと、今まで見たことのないくらい冷たい目で俺を見つめてきて、
「潤くん、これから素晴らしいイリュージョンを見せてあげますよ。」
と言いながら、和也くんはニッコリと笑った。
でもその目の奥は冷たくて…全く笑っていなくて…。
嫌な予感しかせず…。
戸惑いながら和也くんを見つめていると、和也くんは左手の手のひらを広げて口元へと持っていき、手のひらを上に向けてフゥーーッと吹くと、綺麗な七色のシャボン玉がフワフワと空を舞った。
あまりにも綺麗で幻想的なそのシャボン玉を見つめていると、いつの間にか翔くんが両手を広げて俺の前に背中を向けて立っていた。
翔くん…何だか悲しそうな瞳で俺をチラリと見つめると直ぐに前を向いた。
シャボン玉が次々と俺達の方へと流れてきており、それを翔くんが必死に手で払い除けていたのだが…。
そのうち1つが俺の上と飛んできて、キラキラと虹色に光るシャボン玉は綺麗で見つめていると手を伸ばしたくなってしまい、思わず手を伸ばしてしまったのだ…。
すると、ドンッ!!と翔くんに突き飛ばされたかと思うと、翔くんがシャボン玉の中に吸い込まれてしまい、シャボン玉は少しずつ少しずつ大きくなり、スッポリと翔くんを包み込んでしまったのだった。
「翔くんっ!!」
と叫ぶと和也くんがやって来て、
「ふふふ。
狙いは翔ちゃんだったんだよ…。
潤くんに気を取られてしまいましたね。」
クスクスと笑いながら和也くんは冷たい目で俺を見つめてきたのだった…。
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