深い深い海の… 〜①〜
あれから25年経ち俺も32歳となった。
学生時代は毎年盆と正月に訪れていた祖父母の家にも就職をし仕事が忙しくなってからはなかなか訪れる事が来きず、最後に訪れたのはいつだったっけ…?
そんな事を考えながら、祖父母の引っ越しの手伝いをしていると、
「このままこの家を空き家にしておくのは勿体無いよな…。」
「そうよねぇ…。」
と言う祖父母の会話が聞こえてきた。
祖父も体調を崩し都心の病院に通っており、祖母も足を悪くして車椅子での生活を余儀なくされており、ヘルパーさんに来て貰ったりはしていたが、都心に住んでいる伯父夫婦の家の方が何かと便利だという事になり、この度伯父夫婦と一緒に暮らす事となったのだ。
「ここは山も海も近くにあって自然が近くにあるから、空気が美味しくていいよね。」
スゥーッと息を吸いながらそう言うと、
「だったら潤が住めばいいんじゃない?」
と姉がそう言った。
「へっ?」
まさかそんな事を言われるとは思っておらず、間抜けな返事をしてしまった。
姉の言葉を聞いた母が、
「そうよ。
貴方、最近テレワークが増えたって言ってたわよね?」
と言った。
「そうなの?
潤ちゃん?」
伯母がそう聞いてくると母が勝手に、
「大野さんならいいって言ってくれるわよ。」
と答えた。
「潤ちゃん、大ちゃんならいいって言うよーっ!!」
小学生の姪っ子までそんな事を言い始めて…。
いやいやいや…。
勝手にそんな事を言うなよ…。
と思いつつも俺の勤めている会社の社長の大野さんなら、
『住めばいいんじゃね?』
と言いそうだな。
大野さんとは俺の大学の時代の2コ上の先輩で、大学を卒業と同時に今のデザイン会社を起業したのだ。
俺は在学中から大野さんの会社の手伝いをしており、そのまま大野さんの会社に就職したんだ。
此処に住むのも悪くないな…。
なんて思いつつも、
でも、此処からだと通勤が大変だよな…。
と現実的な事を考えていた。
祖父母の引っ越しも無事に終え、休日も終わり会社に出社していつもの指定席に眠そうに座っている大野さんに、
「大野さん、おはようございます。」
と挨拶をした。
「おう。
潤、おはよう。
じいちゃんとばあちゃんの引っ越しはどうだった?」
と聞かれたので、
「無事に終わりましたよ。
「何か俺に相談したい事がある、って顔に書いてあるぞー。」
祖父母の家に住んだらどうだ?問題があるので、
「実は…。」
と言うと、
「実は?」
大野さんは俺を見つめて聞き返してきた。
とりあえず大野さんに相談をしようと思い例の話をする事にした。
「祖父母の住んでいた家が空き家になるので、皆んなが俺に住んだらいいじゃないかという話になってしまって…。」
「ああ…。
確か星ノ浜の近くだったよな?」
「ええ、そうです。」
「だったら住めばいいじゃないか。」
「えっ!?」
「あそこの海は絶好の釣りスポットなんだよな。
俺も釣りに行った時には泊まらせて貰うから。」
「はいっ!?」
「仕事はリモートでも大丈夫だし。
潤が星ノ浜の近くに住んでくれたら俺も頻繁に釣りに行けるからな♫
あー潤のおかげで楽しみが増えたな〜。」
「いやいやいや。
でも会社でしなければいけない仕事もあるでしょう?」
「大丈夫、大丈夫。
会社に出社するのは月に数回だけでいいし、帰るのが面倒ならその時にはウチに泊まればいいさ。」
と大野さんはニッコリと微笑んだ。
という訳で祖父母の住んでいたこの家を俺が譲り受ける事となったのだ。
そんなこんなで急遽決まった転居で慌ただしく準備をしたり仕事は暫く自分のマンションと祖父母の家と会社を行ったり来たていたので、やっと落ち着いてきたのは秋も終わる頃だった。
⭐to becontinued⭐
あれから25年経ち俺も32歳となった。
学生時代は毎年盆と正月に訪れていた祖父母の家にも就職をし仕事が忙しくなってからはなかなか訪れる事が来きず、最後に訪れたのはいつだったっけ…?
そんな事を考えながら、祖父母の引っ越しの手伝いをしていると、
「このままこの家を空き家にしておくのは勿体無いよな…。」
「そうよねぇ…。」
と言う祖父母の会話が聞こえてきた。
祖父も体調を崩し都心の病院に通っており、祖母も足を悪くして車椅子での生活を余儀なくされており、ヘルパーさんに来て貰ったりはしていたが、都心に住んでいる伯父夫婦の家の方が何かと便利だという事になり、この度伯父夫婦と一緒に暮らす事となったのだ。
「ここは山も海も近くにあって自然が近くにあるから、空気が美味しくていいよね。」
スゥーッと息を吸いながらそう言うと、
「だったら潤が住めばいいんじゃない?」
と姉がそう言った。
「へっ?」
まさかそんな事を言われるとは思っておらず、間抜けな返事をしてしまった。
姉の言葉を聞いた母が、
「そうよ。
貴方、最近テレワークが増えたって言ってたわよね?」
と言った。
「そうなの?
潤ちゃん?」
伯母がそう聞いてくると母が勝手に、
「大野さんならいいって言ってくれるわよ。」
と答えた。
「潤ちゃん、大ちゃんならいいって言うよーっ!!」
小学生の姪っ子までそんな事を言い始めて…。
いやいやいや…。
勝手にそんな事を言うなよ…。
と思いつつも俺の勤めている会社の社長の大野さんなら、
『住めばいいんじゃね?』
と言いそうだな。
大野さんとは俺の大学の時代の2コ上の先輩で、大学を卒業と同時に今のデザイン会社を起業したのだ。
俺は在学中から大野さんの会社の手伝いをしており、そのまま大野さんの会社に就職したんだ。
此処に住むのも悪くないな…。
なんて思いつつも、
でも、此処からだと通勤が大変だよな…。
と現実的な事を考えていた。
祖父母の引っ越しも無事に終え、休日も終わり会社に出社していつもの指定席に眠そうに座っている大野さんに、
「大野さん、おはようございます。」
と挨拶をした。
「おう。
潤、おはよう。
じいちゃんとばあちゃんの引っ越しはどうだった?」
と聞かれたので、
「無事に終わりましたよ。
大野さんの紹介してくれた引っ越し屋さん、親切で丁寧だったので祖父母も喜んでいました。
大野さん、ありがとうございました。」
と答えた。
と答えた。
「ああ、それはよかった。
俺の友達の会社だからまた何かあれば利用してやってよ。」
と大野さんはふんわりと微笑むとそう言った。
と大野さんはふんわりと微笑むとそう言った。
「大野さんのお友達の会社だったんですか?」
「あれ?
言ったなかったっけ?」
「はい、聞いてなかったです。」
「そうだっけ?
それよりも潤、何かあったのか?」
と大野さんに聞かれて、
「えっ?」
「何か俺に相談したい事がある、って顔に書いてあるぞー。」
「えっええっ!?
そんな…書いてある?」
「ふふふ。
まあ言ってみろよ。」
祖父母の家に住んだらどうだ?問題があるので、
「実は…。」
と言うと、
「実は?」
大野さんは俺を見つめて聞き返してきた。
とりあえず大野さんに相談をしようと思い例の話をする事にした。
「祖父母の住んでいた家が空き家になるので、皆んなが俺に住んだらいいじゃないかという話になってしまって…。」
「ああ…。
確か星ノ浜の近くだったよな?」
「ええ、そうです。」
「だったら住めばいいじゃないか。」
「えっ!?」
「あそこの海は絶好の釣りスポットなんだよな。
俺も釣りに行った時には泊まらせて貰うから。」
「はいっ!?」
「仕事はリモートでも大丈夫だし。
潤が星ノ浜の近くに住んでくれたら俺も頻繁に釣りに行けるからな♫
あー潤のおかげで楽しみが増えたな〜。」
「いやいやいや。
でも会社でしなければいけない仕事もあるでしょう?」
「大丈夫、大丈夫。
会社に出社するのは月に数回だけでいいし、帰るのが面倒ならその時にはウチに泊まればいいさ。」
と大野さんはニッコリと微笑んだ。
という訳で祖父母の住んでいたこの家を俺が譲り受ける事となったのだ。
そんなこんなで急遽決まった転居で慌ただしく準備をしたり仕事は暫く自分のマンションと祖父母の家と会社を行ったり来たていたので、やっと落ち着いてきたのは秋も終わる頃だった。
⭐to becontinued⭐