「潤ちゃん、お池に落ちちゃったのかもっ!?」
と相葉さんが慌てた様子でそう言うので、
「朔くん、華樹ちゃん、庭にある池に行ってたんだよね?」
と聞くと、
「うん、そうだよ。」
「ずっとお池で鯉に餌をあげてたの。」
と言うので、
「それなら潤くんが目の前で池に落ちていない限り、池には落ちていないよ。
この家の庭にある池は一か所だけだから。」
と言うと、さとちゃんも、
「確かに和が言う通りだな。
相葉ちゃん、少し落ち着いたらどうだ?」
と相葉さんに言った。
「でもっ!!」
と言う相葉さんにさとちゃんが、
「潤くん、モバイル持ってるんだろ?
相葉ちゃん電話してみたらどうだい?」
と言うと相葉さんは、
「あっ!!
そうだよね?そうだ。
さとちゃん先生、ありがとうっ!!」
と言うと、相葉さんはモバイルを取り出し、画面をタッチして潤くんをモバイルで呼び出していた。
相葉さんは再び、モバイルの画面をタッチしてモバイルを切り、
「ダメだ…。
繋がらないよ…。」
と綺麗な黒目がちの瞳をウルウルさせながらそう言った。
「でも、呼び出し音は鳴ったんでしょう?」
と聞くと、
「うん。
鳴ったよ。」
と相葉さんが答えると、
「それなら池に落ちてモバイルごと潤くんが水没はしてない、って事だな。」
と、さとちゃんがふんわりと優しい声で言うと、
「そうだね。
潤ちゃん、お池には落ちていないね。」
と相葉さんも安心した声でそう言った。
「でも、潤くん何処に行ったのかしら?」
と伯母さんが言い、伯父さんも朔くんも華樹ちゃんも不思議がっていると、さとちゃんが、
「潤くんは好奇心旺盛そうだもんな。」
と言うと、俺をチラッと見て、
「和、心当たりあるんじゃないか?」
と聞いてきた。
心当たりがあるとしたら、潤くんのお気に入りのあのウッドデッキだな…。
と思い、
「もしかしたら…。」
と言うと、さとちゃんが、
「じゃあ、行ってみるか。」
と言い立ち上がり、櫻井家の皆さんと相葉さんに、
「とりあえず、俺と和で探してみるから、皆んなは此処で待機しておいてくれ。
もしもそれで見つからなければ、皆んなで手分けして探そう。」
と言い、リビングを後にした。
リビングから出ると、さとちゃんが、
「で、潤くんは何処にいそうなんだ?」
と聞いてきたので、
「掃き出し窓のある廊下にあるウッドデッキかも…?」
と答えると、
「じゃあ、ウッドデッキに行ってみよう。」
とさとちゃんは言い、2人でウッドデッキのある掃き出し窓のある廊下へと向かった。
が…。
掃き出し窓をカラカラカラッと開けて、ウッドデッキにさとちゃんと出てみるが、そこには潤くんの姿はなく…。
「えーっ!?
ここにいると思ったんだけどなー。」
と言いながら前回、潤くんが座っていたウッドデッキの端まで行ってみるが、やはり潤くんの姿はなく…。
「ごめん、さとちゃん。
違ったみたいだね。」
と言うと、さとちゃんが、
「ああ、いいさ。」
と答えると、急に大きな声で、
「潤くんは、昔から黒い柴犬がいるのが分かる特殊な能力みたいなのがあるんだよな?」
と言うと後ろを振り向き、
「なあ、相葉ちゃん。」
と言った。
えっ!?
相葉さんっ!?
驚いて振り向くとそこには、掃き出し窓の所にしゃがんで隠れていた相葉さんが、
「あはっ。
バレちゃったー?」
と気まずそうにして、頭を掻きながら出てきた。
「えっ!?
相葉さんっ!?何でっ!?」
と言うと、
「俺達をつけて来てたんだよな?
相葉ちゃん。」
さとちゃんがニッと笑いながらそう言った。
うそっ!?
俺、全く気付かなかった…。
俺、さとちゃんの洞察力の鋭さに尊敬するよっ!!
★〜★〜★
ベッドの上は何だか気持ちがよくて、ぐっすりと眠ってしまっていた…。
これは夢…?
ああ…夢だ…。
懐かしい、懐かしい夢を見ているんだ…。
遠くに、黒髪の着物を着た綺麗な女の人がいる…。
あれは…。
あれは…姫様だっ!!
〝姫さまの匂いがする…。〟
〝甘い、甘い…花の香り…。〟
〝ああ…、姫さま…。
やっと見つけたよ…。〟
〝姫さま…、姫さま…。〟
姫様に走り寄って姫様に抱きつくと、姫様もオレをギュッ抱きしめてくれた…。
〝姫さま…。〟
姫様の顔を見上げると、
姫様の顔を見上げると、
ふふふふふ。
と微笑んで、姫様は優しくオレを見つめるんだ…。
〜♫♪♩♫♪♩〜
何の…音…?
何の…音楽…?
何の…音楽…?
ああ…これは…モバイルの…着信…音…?
聞き覚えのないモバイルの着信音らしき音で、ふと目が覚めた。
⭐to be continued⭐