花樹ちゃんや潤くん達が出て行った後、リビングに入ると、伯父さんと伯母さんがソファーに座って、俺たちが来るのを待っていた。



「さとちゃん、和ちゃん、さっきはごめんなさいね…。」


と伯母さんが立ち上がり俺とさとちゃんの方へとやって来て、


「お茶の用意をしてくるから、座って待ってて。」

と伯父さんの座っているソファーの向かい側を案内され、ソファーに座って待っていると、


「智くんに言われた通り、朔や潤くん達には席を外して貰ったよ。」


と伯父さんが言った。


「ありがとうございます。
潤くんがいない方が話しを聞きやすいと思って。」


とさとちゃんが答えた。





えっ!?


さとちゃん、そんな事言ってたんだ。



と驚いていると、アイスコーヒーをトレイに乗せてキッチンから戻ってきた伯母さんが、




「相葉くんがね…。
潤くんは昔から犬がいるのが分かる特殊な能力みたいなのがある、って言ってたの。」


テーブルにコトン、とアイスコーヒーの入ったグラスを置きながら伯母さんはそう言うと続けて、


「それも黒い柴犬限定らしくて…。
だから、ウチにも黒い柴犬がいるような予感がしたらしいの。」

と言った。


「「黒い柴犬限定でっ!?」」


と、さとちゃんと声を揃えて聞き返すと、


「ああ、そうらしいよ。
潤くんは子供の頃から黒い柴犬を見つけている、というより自分に合った子を探していると言った方が正解かも?と相葉くんが言ってたな。」


と伯父さんがそう言った。





「どういう事?」


と聞くと、伯母さんがクスクスと笑いながら、


「潤くん、動物好きなのに動物に嫌われるらしくて。
ふふふ。
それで自分の運命の子を探してるんだろう、って相葉くんが言ってたの。
だから、潤くんが来た時に犬用のクッキーを持って来ていたから…少し気味が悪くて動揺しちゃったんだけど、相葉くんのお話しを聞いたら何だか笑えてしまって。
だから、もう大丈夫よ。」



と伯母さんが笑顔でそう言ったが…。



俺の隣ださとちゃんは難しい顔をして、


「『自分の運命の子』か…。」


と、ぶつぶつ言っていて…。


さとちゃん…、完全に別世界に行ってるんですけど…。



アイスコーヒーを飲みながら、横目でチラチラとさとちゃんを観察していると、


「そういえば翔は?」


伯母さんがキョロキョロとして、翔ちゃんがいない事を聞いてきた。





別世界に行っていた筈のさとちゃんが、


「…翔ちゃんは…。
実はまた犬の姿になってしまって…。」


と答えると、




「「えっ!?」」


と伯父さんと伯母さんが声を上げ、


「また犬の姿になっちゃったのっ!?」

と心配そうな顔した伯母さんが聞いてきた。


「満月でもないのに、最近よく続くな…。」


と伯父さんが呟くようにそう言うのを聞き、少しでも伯父さんと伯母さんに明るい気持ちでいて欲しくて、



「翔ちゃん、元気だしっ!!
犬の姿になっても食欲だけはあるから、後で美味しい物を持って行ってあげる、って約束しているんだ。」


と戯けてそう言うと、



「ふふふふふふ。
食欲旺盛で何よりね。
和ちゃん、後で翔に美味しいご飯持って行ってあげてね。」


と伯母さんが笑いながらそう言うと、伯父さんも、


「まあ、翔が元気なら大丈夫だな。
ハハハハハッ。」


と笑っていた。


伯父さんも、伯母さんも笑顔になってよかった…。


と内心ホッとして安心していると、さとちゃんが、


「和、ありがとうな。」


と俺の頭をポンポンッとしてくれた。



















暫くするとガチャッと、リビングのドアが開き、


「「「ただいまー。」」」


と、朔くんと花樹ちゃんと相葉さんが入ってきた。






潤くんの姿が見えなかったので、



「あれ?
潤くんは?」


と聞くと、相葉さんが、


「えっ!?
潤ちゃんは先に戻っいる筈なんだけど…?」


と不思議そうな顔をしてそう言った。


「潤くん、戻ってきてないわよ。
ねっ。」


と伯母さんが伯父さんを見て言うと、


「ああ。
潤くんは見てないな。」


と伯父さんが答え、俺とさとちゃんも顔を横に振ると、



「えっ!?
そんな筈はないよっ!!」


と相葉さんはそう言うが…。



「でも、潤くんは戻ってきていないよ…。」

と俺が言うと、



「どうしよう…。
潤ちゃん…何処に行ったんだろう…?」



相葉さんが青ざめた顔でそう言った。




















⭐to be continued⭐