朝食を済ませた後、和也達の出発までまだ時間があるようなので潤が和也に、


「かず、裏山の祠に行ってみない?」

と問うと、




「うん。行ってみたい。」


と和也が答えた。




それを聞いていた相葉くんが、



「にのちゃん、Jちゃん、俺も一緒に行ってもいいかな?」


興味津々で瞳をキラキラと輝かせて聞いていた。



相葉くんも一緒だが、これ以上潤と和也が一緒にいるのはあまり面白くないので、



「俺も一緒に行く。」


と言うと和也が、



「じゃあさ、四人で行こうよ。」


と言った。



「うん、そうだね。」

と潤が言うと相葉くんが



「わーい。

にのちゃん、Jちゃんありがとうっ!!」

と言いながら潤と和也にガバッと抱きついていた。





えっ!?

相葉くん、そこ抱きつく必要あるの…?


と思っていると和也が、


「ちょっとーっ!!

どさくさに紛れて何してるんだよっ!?」


相葉くんをグイッグイッと押し返しながら言った。



「えっ!?

お礼のハグなのにー。」

と言いながら更に和也と潤に抱きつく力を強めると潤が、


「ふふふふふ。

まー、くすぐったいよー。」


と笑いながら言うのを見て、



ダメだ…。

もうこれ以上は潤には触れさせられない、と思い、




「ほらいいから時間が無くなるから早く用意しろ。」


と言うと、


「「「はーいっ!!」」」


と三人が返事をした。





和也達が準備を整え終えて、玄関まで行くと潤が、



「皆んな、ちょっとここで待っててね。」


と言い外に出て、晴れ渡る青空に向かって手をかざして空を見つめていた。




すると、空にうろこ雲が現れ先程までの青空はすっかり隠れていまい、暫くすると雨がポツリポツリと振り始めた。


潤の雨の結界だ…。



此処は智くんの結界が張られているが、きっと潤は昔和也と一緒に遊んでいた頃のように、自分の結界を張って和也と相葉くんを守りたいんだろうな…。



ジッと潤を見つめていると振り返った潤と目が合うと、潤はニッコリと微笑んだ。




潤が、
 


「これでよしっ!!

皆んな、出ても大丈夫だよ。」


と言うと、皆んなで傘をさして外に出ると、雨は俺達を避けながら降り注ぎ地面を濡らしていた。






雨音と地面の土を踏みしめる音が静かな山道に響き、木々に囲まれた細い道を四人でゆっくりゆっくりと登って行く。




雨のせいで足元は悪いが、昨晩に比べると朝は明るくて足元も見えるので降り注ぐ雨の中、和也と相葉くんは緑に囲まれた景色を楽しみながら登っていた。






裏山の祠まであともう少しという所で潤が、



「かずっ!!」

と和也を呼ぶと和也の左手を手に取り、和也の手を引きながら走り出した。







その姿が幼き日の和也と子供の姿をしている潤に重なって見えた。



ああやって和也の幼少期には、二人で手を繋いで走り回って遊んでいたよな…。



懐かしいな…、と思いながらゆっくりと潤と和也の後を追い、少し離れた所から二人を見守っていると、




「にのちゃんとJちゃんは本当に仲がいいですね。」

相葉くんが二人の様子を見ながら、ニコニコとしながら話しかけてきた。



「ああ…。

和也が子供の頃は、和也が来るといつも潤と一緒に祠の近くで遊んでいたんだよ。」




「そうだったんですね。

にのちゃん、Jちゃんとの大切な思い出を思い出す事が出来てよかったよね。くふふふふふ。」


「そうだな。」



相葉くんと二人を見つめながら会話をしていると、和也が振り返ってこちらをチラチラと見てくるので、相葉くんを見ているのだと思っていた。


相葉くんを見ているにしては、やけに和也と目が合うなと思っていると…。






和也が背伸びをして潤の耳元に手を当てて何かを囁いたあと、潤をギュッと抱きしめた。


潤を抱きしめた後も和也はチラリと俺の様子を見てから、潤にまた何かを囁いていた。



それをやる為に俺を見てたのかっ!?

和也、お前何やってるんだよっ!!

何回潤に抱きつけば気が済むんだっ!!

本当に可愛くないヤツだなっ!!





居ても立っても居られず直ぐに潤と和也の元へ行き、



「潤、和也、もうそれくらいでいいだろう。」


と言い潤を和也から引き離し、そのまま潤をギュッと抱きしめると、




「結局自分がJを抱きしめたいんじゃんっ!!」

と和也が頬を膨らませて言ってきたので、



「それの何が悪い…?」


と言うと潤が俺の胸元に頬をすり寄せてきた。


小さな消え入るような声で、


「嬉しい…。」

と潤が呟いた。


そんな潤を愛おしく思いながら見つめ、抱きしめる力を更に強めた。






和也と相葉くんの話し声が聞こえてきたので、ふと和也に目をやると相葉くんが和也に、



「俺もにのちゃんを幸せにしてあげるね。」


とあふれんばかりの笑みを浮かべてそう言うと、和也は顔を赤らめて俯いていた。


和也は照れているようで耳まで真っ赤になっている。


その様子を見て思わずニヤけながら和也を見ていると、こちらをチラッと見た和也と目が合った途端に和也はふてくされた顔になった。





きっと俺に見られて気まずいんだろうな、と思いつつも和也の様子を楽しみながら見ていた。






⭐to be continued⭐