両手に光を集中させて集め、その光を空へと飛ばすと、夜空一面に光の星がキラキラと輝き、その光の星に手をかざし、地面に向けてサッと手を下ろすと光の星の流星が空から次々と降ってきた。


その流星に向かって、智和が空に手を伸ばしながら、


「翔、綺麗だな。」

と言いながら眺めていた。


暫く光の星の流星を楽しんで貰い、



「智和、時計をこっちに向けてくれっ!!」


と、智和に声を掛けた。




「これでいいか?」

と、時計を俺の方に向けた智和が言った。




「ああ、それで大丈夫だ。

智和、行くぞっ!!」


と、言い、光の星を空にだけではなく、智和の周りにも飛ばした。



キラキラと輝く光の星が次々と、智和が差し出した腕時計に反射し、赤、黄、緑、青、紫、の光となり、半円を描きながら空に向かって登っていった。


流石、智和だな…。

よく計算して作られているな…。


と感心しながら見ていると、その五色の光は上から赤、黄、緑、青、紫、と重なり、光の虹となり暗い夜空を鮮やかに彩った。



「智和の思い描いていた通りになっているか?」




「儂の想像以上の出来だ。」

と、笑顔を俺に向けてそう言ってくれた。






「あと、これ…。」

と言い、着物の懐から緑色の鳥の形をした紙を取り出し、智和に差し出した。


それを受け取った智和が、不思議そうに眺めながら、


「翔、この鳥の形をした紙はなんだ?」

と聞いてきた。





「それは我々天狗が使っている〝式〟だ。」





「〝式〟…?」




「離れた所にいる相手に何かを伝えたい時に、飛ばして使っているんだ。」




「これをどうするんだ…?」





「智和は二十歳になった和也へ、何か伝えたい事はないか…?」





「二十歳になった和也に伝えたい事…?」





「ああそうだ。」




「…そんな事が…出来るのか…?」



驚いた顔をして智和が聞いてきた。





「ははっ。

そんな事が俺の妖術で出来るんだ。

智和は天狗ではなく人間なので妖力はないので妖力の色は無いが、その緑色の鳥の形をした紙は、智和の魂の色と同じ色の智和用の〝式〟なんだ。

それを使えば可能だ。」




「儂の魂の色…?」

智和に問われて、




「そうだ。

俺達天狗に妖力の色があるように、人間の魂にも其々の色があるんだ。」

と答えた。


ジッと緑色の鳥の形をした紙を見つめる智和に、


「〝式〟に和也への伝言を伝えて、最後に息を吹きかけてくれ。

そうすれば和也の二十歳のお祝いの時に、〝式〟が智和からの言葉を和也に伝えてくれる。」




智和はそっと緑色の鳥の形をした紙を撫でて、二十歳になった和也へ自分の伝えたい言葉を残し、最後に緑色の鳥の形をした紙にフッと息を吹きかけた。



その緑色の鳥の形をした紙を、智和の手からそっと受け取った。



少しずつ緑の小鳥に姿を変えようとする〝式〟を、俺の両手の手のひらの間に入れ、光の星で包み込み、和也が二十歳になった年の六月二十五日の夜まで〝式〟が目覚めないように、術をかけて眠らせた。





「必ず和也が二十歳になった年の〝永遠の契り〟の記念日に、和也にコイツを届けるからな。」

と、緑色の鳥の形をした紙を指先で撫でながらそう言うと、




「ああ…、翔、頼むぞ。」

と、俺の手の中にいる緑色の鳥の形をした紙を見つめながら、智和はそう言った。







⭐to be continued⭐