「へぇー。〝縦読み〟か。

面白そうだな。潤も好きそうだな。」


と言いながら智和の隣へと座った。



智和は左手をグーにした手を、右手の手のひらでポンっと叩き、




「謎解きの手紙は潤に届けて貰い、和也と一緒に解いて貰おうか…?」

と、言った。



「ふふっ。きっと潤は喜ぶと思うぞ。

来る時に潤に、智和が謎解き用の手紙を書いている、と言ったら興味を示していたし。」

と智和に言うと、



「そうか、それなら潤に頼もう。

あとは地図もあるので地図も探して貰う為の、謎解きも考えなくてはいけないし…。」



「地図?」

と聞き返すと智和は、




「ああ。前に潤に書いて貰ったんだ。」


と答えた。




「そういえば、智和を〝永遠の契りの記念日〟に誘った時に、潤が襖に地図を描いたと言っていたな…。」


と言いながら、まさかその地図は和也の為に…、と思い智和に、



「えっ!?もしかして…?」

と問うと、




「ははは。

バレたか…。あれは和也の為に書いて貰ったんだ。」

頭をかきながら智和は、気まずそうに答えた。




「智和…まさか…。

お前、はじめから和也を、あの場所に行かせるつもりだったのか…?」




「ああ。」

と言いながら、智和は頷いた。



「はぁーーーっ!?」


智和を睨みつけると、智和は悪びれる様子もなく、




「翔がダメだと言ったら、和也が二十歳になった時の翔と潤の記念日にあの場所に行かせて、こっそり見せるつもりだったんだ。」


とケロリとして言った。




「こっそりって…。

何もかもはじめから、智和の思惑通りだったって訳か…。」

ガックリと項垂れていると、




「潤から翔の光の流れ星の話を聞いた時から、どうしても和也に見せてやりたい、と思っていたんだ。」


すまないっ!!

と言って、智和は両手を合わせ、頭を下げて俺に謝ってきた。





「智和には敵わないな…。」


もう既に智和の手のひらで踊らされている状態なので、最後まで付き合うしかないな…。

と諦めるしかなかった。







俺が、


「はぁー。」

とため息をつくと智和が、




「でも、翔の光の流れ星は本当に綺麗だった。

あんなに綺麗な流れ星は見た事がない、生きている間に見せて貰えてよかった…。」


と、あの日の光の流星を思い出しているのか、まるで目の前を光の流星が流れているかのように遠くを眺めながらそう言った。






智和は自分の死期を悟っている…。

だから、これだけ必死に和也への二十歳のお祝いの事を考えているんだ…。

と思いながら重い空気にならないよう、わざと戯けて智和の背中をパシパシッと叩きながら、



「生きている間ってっ!!

智和のように図太い神経の持ち主は長生きするさっ!!」



と言うと、





「ハハッ。それもそうだな。」


と笑いながら智和が答えた。







「さてと、謎解きの手紙の続きでも考えるか。

翔も手伝ってくれ。」



と筆を再び手にした智和がそう言いながら、紙に色んな言葉を書き始めた。

その様子をそっと眺めながら、智和と一緒に謎解きの手紙を書き進めていった。








⭐to be continued⭐