三人でオリエンタルブルーの空を眺めた後、そのまま空を飛んでおおみ屋工房の裏山にある祠に向かった。




祠に到着した頃には辺りは夜の暗闇に覆われており、抱きかかえていた智和を地面に降ろしてやると潤が、


「しょおくん、暗いから智和の足元がよく見えなくて危ないよ。」


と言ったので、バサバサッと翼を羽ばたかせて光輝く羽を宙に舞わせて足元をほんのりと照らしてやった。


「これでどうだ?」

と問うと、


「翔、ありがとう。

しっかり足元が見えるよ。」


と智和が答えた。





智和はそのまま祠の裏にある湧き水の所まで歩いて行き、


「潤が言う通り、この湧き水の近くには蛇苺が生えているんだな。」

と振り返り、潤を見ながら言った。



「そう、この時期は蛇苺が目印なんだよ。」


と、智和に近づいて行きながら潤が言うと、智和が湧き水に手を伸ばして触ろうとした。


すると潤が、


「あっ!!

智和だめだよっ!!それは〝忘却の水〟だからっ!!」


と慌てて言うと智和が湧き水から手を引っ込めながら、



「わかっておる。

飲んだらしないから安心しろ。」


と潤に言うと潤はホッとした表情になった。







そんな二人のやり取りを見て、


「ちょいちょいちょーいっ!!

智和は何でも知りたがりすぎで、潤は何でも教えすぎだぞ。」


と、両手を腰に当てて注意しながら言うと、二人はしょんぼりしながら、



「「ごめんなさい…。」」

と謝ってきた。


肩を落としてトボトボと祠の前に戻って来た智和と潤に、




「好奇心がある事は良い事だけど、二人とも程々にな。」

と、潤の頭をポンポンとしながら言うと、



「しょおくん、気をつけるね。」



「儂も聞きすぎないようにする。」


と二人とも反省しながら言った。








「さてと、小言はこれくらいにしておいて…。

折角の〝記念日〟なんだから、楽しもうか?」




と潤と智和に微笑みかけながら言い、翼をバサバサッと羽ばたかせ、祠の近くにある木々をズ…ズズッ…ズッ…と左右にゆっくり動かし、木のトンネルを作り上げた。




「「うわぁーっ!!」」


智和と潤が目をキラキラさせながら、木のトンネルを見つめていたので、


「潤のリクエストの木のトンネルだよ。」

と言うと、



「しょおくん、ありがとう!!

ねっ!?智和凄いでしょ!?」




「ああ、これは凄いなっ!!」


潤が智和の手を取り、



「こっちだよっ!!」


と、走りながら木のトンネルに案内して行く姿を見て、



「潤、智和、走ると危ないからゆっくり行くんだよっ!!」



と言いながら、二人の後を追いかけた。









⭐to be continued⭐