客間に戻ると智さんが座って待っており、テーブルには蕎麦と天ぷら、薬味などが並べられていて、すでに食事の用意がされていた。
「おう、戻ってきたか。」
「はい、和也さんたちをお連れしました。
どうぞ座ってください。」
花浅葱さんに言われてテーブルを囲い座ると、
「あ、どうぞ先に召し上がっていてくださいね。」
と言い花浅葱さんは入ってきた襖とは反対側の襖から、部屋を出ていった。
「なんだ、アイツ…?
まあ、遠慮せずに食ってくれ。」
「「いただきますっ!!」」
「イタダキますっ!!」
ズルズルッと蕎麦をすすると、蕎麦のコシが強くツルっとしつつもザラッとした舌ざわりで、蕎麦の味もしっかりしているので箸が進む。
「美味しいですっ!!
これ本当に智さんが作ったんですかっ!?」
と聞くと、
「おう。そうだ。」
と、智さんがのんびりとした声で答えた。
「智さん、本当に美味しいですっ!!
お店開けますよっ!!」
と相葉さんも絶賛すると、
「相葉ちゃん上手いなー。」
よせやい、と智さんは照れながら言った。
俺たちがお蕎麦を食べているのに、Jがなかなかお蕎麦を食べようとしない。
「J、どうしたの?お蕎麦美味しいよ?」
「ウ…ン…。」
「お蕎麦、にのちゃん家で食べた事がないからかな?
Jちゃんの好きな麺類だよ。」
と相葉さんが言っても、
「ウ…ン…。」
と言うだけでお蕎麦を食べようとしない。
その様子を見ていた智さんが、
「あー。花浅葱がすぐに持ってきてくれるから、少し待っとけ。」
と言ったのと同時に襖がスッと開き、花浅葱さんが部屋に入ってきた。
「戻ってきましたー。」
花浅葱さんの手にはお盆が持たれており、お盆の上には納豆と梅干しと大根おろしがそれぞれ入った小皿が何個か乗っていた。
「これお蕎麦にのせて食べると美味しいんですよ。
お好みでのせてみてください。」
とテーブルに小皿をコトッと花浅葱さんが置くと、Jが目をキラキラさせながら小皿を見ていた。
「どうぞ。」
花浅葱さんがJの前に小皿を置いてくれると、Jは嬉しそうに、納豆と梅干しと大根おろし、そしてネギをお蕎麦の上にのせてお蕎麦を食べ始めた。
一口食べて、
「美味シイーっ!!」
とJが喜んでいた。
えっ!?どういう事…?
花浅葱さんはなぜJの好みがわかったのだろうか…?
不思議に思い花浅葱さんを見ていると、
「ふふふふふ。僕は勘がいいんですよ。」
と俺を見ながらそう言った。
⭐to be continued⭐