6月25日、じいちゃんとの約束の日がやって来た。

今朝も雨が降っている。



おおみ屋工房へ向かうため早朝に部屋を出て、迎えに来てくれた相葉さんの運転する車に俺はナビをする為に助手席に、Jは後部座席にと乗り込む。


「おはよう。にのちゃん、Jちゃん。」

「おはよう。相葉さん。」

「オハヨー。まー。」


「にのちゃん、忘れ物はないー?」


「うん。ちゃんとじいちゃんからの贈り物の時計も持ってきたし、念のために手紙も持ってきたよ。」

鞄を探り時計や手紙を見せながら、相葉さんに忘れ物のない事を伝えると、安心した相葉さんは車を発進させた。



「そういえば、にのちゃんとJちゃんは朝ごはん食べたー?」

「あ、相葉さん、俺たちまだ食べていないから、途中でコンビニに寄ってもらってもよいかな?」


「まだならよかったー。母ちゃん張り切ってにのちゃんとJちゃんの朝ごはんにって、お弁当作ってくれてるんだ。」

それを聞いてJが目を輝かせる。

「まー。ゴ飯…!?」

「うん。
Jちゃんの横にある保冷バッグの中にあるから、出して食べちゃってよ。」


Jは早速保冷バッグの中をゴソゴソと探っている。


「相葉さん、ありがとう。
おばさんにもお礼を言っておいてよ。」


「くふふふふ。母ちゃんに伝えておくね。
でも、母ちゃんもにのちゃんとJちゃんにご飯作ってあげるのが楽しみみたいなんだよねー。」

と、話していると、

「かず、ハイっ。ドウぞー!!」

後ろにいるJからお弁当箱とお箸とペットボトルのお茶を渡された。


「まー、ハイっ。ドウぞー!!」

相葉さんには、アルミホイルに包まれたおにぎりとペットボトルのお茶を渡してあげている。

「わー。俺の分もあったんだー。
Jちゃん見つけてくれて、ありがとう。」

相葉さんが後ろ見てJにお礼を言おうとするので、車が少しフラついた。

「うわっ!!相葉さんっ!!
前見てっ!!危ないっ!!」

と慌てて言うと、Jも真似をして、

「まー。危ナイっ!!」

と相葉さんを注意していた。



「くふふふふ。ごめん、ごめん。
安全運転で行くねーっ!!」


「俺、途中で運転代わるからね。
ずっと運転だと相葉さん疲れちゃうから。」


「にのちゃん、ありがとう。
じゃあ、交代しながら運転しようねー。」


「うん。そうしよう。」




俺たちの進む方向は相変わらず雨が降っていて、雨脚も弱まる気配が全くない。


「今から向かう所は天気予報で晴れマークになっていたのに、進む方向ずっと雨だねー。」

相葉さんが不思議そうに言う。



そうなんだよね。

Jが来てから天気予報が晴れマークになっていても、いつも雨なんだよね…。

そして、俺とJと…最近気づいたんだけど相葉さんも濡れない雨。



不思議な雨が今日も俺たちのいる所には降っているのだった。




⭐to be continued⭐