部屋の真ん中にある、円形のローテブルを3人で囲んで、
「「いただきますっ!!」」
相葉さんと俺が手を合わせて料理を食べ始めると、Jも両手を合わせてコクンと頷いて食べ始めた。
Jがお箸を使ってご飯が食べている。
なんだか意外…。
そして、ちゃんと正座をして姿勢もよくて、なんだかこの人は育ちが良さそうだな。
相葉さんがスマホを取り出し、
〝Con Todo Me Amore〟
を検索する。
「ラテン語で、〝私の全ての愛を込めて〟、という意味なんだって。」
〝私の全ての愛を込めて〟
なんとなく…。
「それって、男性から女性に贈る言葉みたいじゃない?」
「うん。男性から女性に贈るのにお勧めの言葉って書いてあるよ。」
やっぱりね…。
「…情熱的な彼氏から贈られた物だったりして…。」
ボソッと言うと…。
「Jちゃんは綺麗だから、それもあるかもね。」
「えっ?」
「Jちゃん美人さんだから、彼氏さんはイケメンかなー?くふふふふ。」
そこは突っ込んで欲しかったんですけど…。
「相葉さんはそういうの偏見ないんだ…。」
「そうだねー。恋愛に性別は関係ないかなー?好きになっちゃったもんは仕方ないもんねー。」
「まあ、そうだねー。」
「にのちゃんは…、そういうのはダメな人…?」
「いや、それはないかな。」
だって、俺も同性が…、
いや、相葉さん貴方が好きなんだもん。
ふとJを見ると、左手の薬指にはめている指輪を、首を傾げてジーッと見ている…。
Jの左側に座っていたので、ひょいっとJの左手を覗き込み、指輪のデザインをもう一度見てみる。
やっぱりそうだ…。
アラベスクモチーフに赤い石の両横には星の模様が入っている。
亡くなった母方のじいちゃんは、時計職人だったけど手先が器用で指輪なんかも頼まれたら作っていた。
『星のモチーフは、”願いの成就〟を意味して希望の象徴だから、じいちゃんが作る時計やアクセサリーには星のモチーフを入れるんだ。』
じいちゃんがよく言ってた。
この指輪にも星のモチーフが入っている。
「この指輪、ウチのじいちゃんの作ってた指輪に似ているんだよね。」
と言うと指輪を見ていたJが、急に顔を近付けてきて、ジッと見つめてきた。
近いっ!!!
顔、近いよっ!!!
Jのフッサフサの睫毛が、一本一本ハッキリ見える距離。
「ちょっ…。何…???」
焦っていると急に後ろから、頭をぐいっと引っ張られて、
「にのちゃん!!Jちゃん!!ちょっと顔が近すぎるよっ!!」
相葉さんの方に引き寄せられる。
何っ!?何っ!?
今度は相葉さんが近いっ!!!
近いっ!!!
軽くパニックに陥る
が…。
痛いっ!!!
相葉さん、頭引っ張りすぎっ!!!
痛いよっ!!!
「相葉さんっ!!!痛いっ!!痛いよっ!!!頭が取れちゃうよっ!!」
そうこの人、“力加減バカ男”なんだよね…。
⭐to be continued⭐