ぼくの名前はじゅん。
ネコのじゅん。
そしてぼくの飼い主さんは…。
「じゅーん。
おはよう。
ご飯だよ。」
部屋着のグレーのスエットの上下で髪は寝癖で少し跳ねているけど…そんな姿も格好良い…。
この人が…。
ぼくの飼い主さんです。
名前は〝しょおくん〟って言います。
ぼくの目の前にお皿に入ったカリカリのご飯を置いてくれるしょおくんを、
今日も朝からイケメンで大きな瞳もぽってりとした唇も素敵だなぁ〜♡
うっとりとしながら見つめていると、
「ふはっ、じゅん。
俺の顔ばっか見てないでご飯食べなよ。」
としょおくんは優しくぼくの頭を撫でながらそう言うと、
「ほら。
今日はじゅんの好きな味のご飯だよ。」
とお皿からカリカリを数粒手のひらに乗せて、
「じゅーん。
召し上がれ。」
と優しくそう言ってくれるので、ぼくはしょおくんの手のひらの上のカリカリを夢中で食べるとカリカリがなくなっちゃいました。
なので、
しょおくん、もっとちょうだい!!
「にゃ〜、にゃにゃにゃーっ!!」
と言いながらしょおくんの手のひらをペロペロと舐めると…。
「ふははは…。
こーら、潤。
くすぐったいってば。」
と、しょおくんは笑いながらまたカリカリを手のひらに乗せて食べさせてくれんだ。
夢中でしょおくんの手のひらにあるカリカリを食べていると、
「じゅんは甘えん坊さんだな…。」
と微笑みながらしょおくんは大きな綺麗な瞳でぼくを見つめてきて…。
ぼくはそんなしょおくんの笑顔を見るのが大好きなんです。
ぼくにご飯を食べさせてくれた後、しょおくんはソファーに座りコーヒーを飲みながら新聞を読み始めました。
ぼくもソファーに移動してしょおくんの邪魔をしないようにそっとしょおくんの隣に座り、新聞を読むしょおくんの姿を眺めながら…ふと壁にかかっている丸い〝時計〟っていうのに目を向けると…。
時計の針っていうのがいつもより少し傾きが大きくて…。
という事は…。
大変だっ!!
「にゃぁーっ!!」
時計の針がいつもしょおくんが出かける時間を過ぎてきたので、
しょおくん、大変っ!!
しょおくん、大変っ!!
「にゃ〜、にゃぁーっ!!」
「にゃ〜、にゃぁーっ!!」
としょおくんのスエットの裾を引っ張って時間が過ぎている事を教えてあげると、しょおくんは、
「ん?
どうした?じゅん。」
と呑気にぼくの頭を撫でるから、時計の方に顔を向けて、
しょおくん、時間過ぎちゃってるよっ!!
「にや〜、にゃにゃにゃにゃっ!!」
と訴えると、しょおくんはぼくの視線の先にある時計に気づいて、
「ああ…。
いつも出勤する時間を過ぎているね。」
と言いぼくの頭を撫でると、
「でもね、今日は休みだから大丈夫なんだよ。
じゅん、教えてくれてありがとう。」
とニッコリと微笑んでそう言ったのでした。
お休み…?
「にゃ…?」
としょおくんにそう聞くと、
「そう、今日は仕事は休みなんだよ。
だから今日は一日中じゅんとこうして過ごせるんだよ。」
と言うとぼくを抱っこしてくれたのでした。
しょおくんと今日は一日こうやって過ごせる♡
と思うとぼくは嬉しくて、抱っこしてくれる翔くんの手に頭を擦り付け、
しょおくーん、嬉しいよーっ!!
「にゃ~、にゃにゃーんにゃーっ!!」
としょおくんにそう言うと、しょおくんも嬉しそうに微笑んで、
「ふはっ。
じゅんは本当に甘えん坊さんだなー。」
と言いながらぼくの顔にチュッとしょおくんの柔らかい唇が触れたのでした。
ああ…。
こんなに間近でしょおくんの顔が見れるなんて…幸せ…♡
と思いながらぼくはしょおくんの胸の中で大好きなしょおくんの顔をジッと見つめて幸せを噛み締めるのでした。
お昼ご飯も食べておやつも貰ってしょおくんと一緒にお昼寝して、しょおくんに猫じゃらしで遊んで貰っていっぱいいっぱいしょおくんに甘えて今日は過ごせました。
そうして夜になり、しょおくんが眠る時にはぼくも一緒にしょおくんについて行くと、しょおくんは、
「じゅーん。
おいで。」
と言ってベッドの上のお布団をそっとめくってお布団の中に入れてくれるんです。
ぼくはピョンと跳ねてベッドへと上がるとしょおくんと一緒にお布団に入るとしょおくんが、
「じゅん、ほらここにおいで。」
と言って腕を伸ばしてポンポンとするのでぼくはしょおくんの腕に頭を置いて横になるんです。
しょおくんの腕枕は最高だにゃあ〜♡
はあ…。
今日も一日しょおくんと過ごせて幸せだったにゃあ〜♡
と思いながらスヤスヤと眠りにつき…。
そしてまた朝を迎えるんです…。
「…ゅん。
じゅ…ん……だ…よ…。」
あ、しょおくんの声が聞こえる。
にゃ…。
「じゅーん。
朝だよ、起きなよ。」
朝になると、しょおくんがぼくをゆさゆさと揺すって起こしてくれるんです。
「にゃ〜…にゃ…にゃにゃ…。」
しょおくん…ぼくまだ眠いよ…。
手で目を擦り、しょおくんの綺麗な顔に手を伸ばし…て…。
って……。
あれ?
この手って…まるで…人間の手みたい…。
えっ!?
ぼく…もしかして人間になっちゃったの!?
不思議に思いながら、
「ほーら。
潤、起きて。」
と言うしょおくんに、
「にゃ〜、にゃーにゃー。」
しょおくん、ぼくまだ寝ていたいよー。
と返事をすると…。
しょおくんの大きな瞳を更に大きく見開いたかと思うと、ぼくをジッと見つめてきたのだった。
驚いた顔をしたしょおくんに、
「にゃ〜、にゃにゃにゃ?」
しょおくん、どうしたの?
と聞くけれど…。
「……。」
しょおくんは無言でジッとぼくを見つめているだけで…。
「にゃ〜?」
しょおくん?
「……。」
「にゃ、にゃっにゃにゃっ?」
ねぇ、どうしちゃったの?
「……。」
「にゃ〜にゃにゃーっ!!」
しょおくんってばー!!
「……。」
無言のしょおくんに何度も何度も話しかけるけど、しょおくんは目を見開いてぼくを見つめているだけで…。
そんなしょおくんを見て、
あ、そっか。
ぼくが急に人間になっちゃったから驚いているんだ!!
「にゃ〜、にゃにゃにゃにゃっ!!」
しょおくん、じゅんだよっ!!
と言うと、しょおくんはやっと口を開き、
「……これって…布団でネコ潤ごっこ…?
(本家はこたつだけど…。)
それともエイプリルフール…?」
と首を傾げながらぼくにそう言ってきたのでした。
布団でネコじゅん…?
エイプリルフールってなぁに?
美味しいの?
なんだろう?と考えていると、
フッ
としょおくんが口角をクイッと上げて笑ったかと思うと、
「…潤…。
…俺をどうしたいの?」
と、ぼくの目を見ながら何だか色っぽい表情でしょおくんはそう言うと、ぼくの唇にしょおくんの唇をチュッと合わせた後ゆっくりと離れたのだった。
「潤…。
一体何のプレイ?」
と言いながら再びぼくの唇にしょおくんの唇が合わせられたかと思うと、深い…深い…口づけをされて…。
「に…ゃ〜…」
しょお…くん…。
ぼ…ぼく…しょおくんとチューをしているの…?
これって夢なのかな…?
でも…でも…。
しょおくんとチュー出来るなんて幸せ…。
夢みたい…。
なんて思いながらしょおくんの唇を味わっていると…。
少しずつ目が冴えてきて…。
ん…ゆ…め…?
ゆめ…?
夢…!?
いや違うっ!!
夢じゃないっ!!
こっちが現実で、
ネコになっていたのが夢で…。
という事は…。
慌てて翔くんから離れようとするが、翔くんにしっかり頭の後ろをホールドされていて翔くんの口づけから逃れる事が出来ず…。
マズイ…マズイ…。
このままだと…。
どうしよう…。
と頭の中でグルグルと考えていると、翔くんの唇が俺から離れて…。
翔くんは俺の大好きな笑顔で、
「じゅーん。
今日はお互い休みだから思う存分イチャイチャ出来るんだよ。」
と言ったかと思うと…。
「…今日はネコプレイで楽しませてね♡」
と俺の耳元でそう囁き、
「にゃんにゃん。」
と右手を顔の横に持っていき招き猫のポーズをしてニッコリと微笑むその笑顔は…。
うん、完璧に変(態)な事を企んでいる時の翔くんの笑顔で…。
これは本当にマズイ…。
「いや…違うっ!!
寝ぼけていただけで、俺はそんなプレイがしたい訳じゃないしっ!!」
と翔くんに訴えるが…。
そんな訴え…今の翔くんには届くハズもなく…。
「ほーら、潤もっと鳴いてよ。
さっきみたいに可愛い声で『にゃー。』って♡」
「うー…。
嫌だっ!!」
「え〜。
ちゃんと『にゃん。』って鳴いてよネコ潤ちゃん♡」
「い…や…。」
「ねっ。
お願い♡」
って、色気たっぷりの翔くんの極上の笑顔でそんな事を言われたら…。
「う…。
にゃ…にゃー…。」
って感じながら鳴くしかないよね…?
その後、俺は翔くんに散々鳴されたのは言うまでもないだろう…。
「にゃ…んっんんっ…。
にゃあ〜…。」
「ふふ。
じゅん、いい子だね♡」
〜ねこ〜
end