夕方、メンシの町をを散歩中。
雪はやんでいたが、分厚い雲が空を覆っていて。

空を見上げると雲が動いているのが分かった。
標高のせいか、チベットにいると雲が低く、そして近い。
凄い勢いで雲が千切れて飛ばされてゆく。
そしてわずかにできた「ヒビ」から真っ青な空がのぞいた。
そのヒビは隙間になり穴になり、いつか「空そのもの」になった。

あんなに分厚かった、青空なんて想像さえさせなかったあんな雲が、あっさりと消え去り、青空が現れる。ほんの15分ほどの間に。

魔術を、あるいは奇跡を見ているような、
いやきっと当たり前の事なんだろう。
こうして青空は、いつだって、できていたのだろう。
それでも美しすぎた、人間以上の、神のような力を持った何かを思わずにはいられなかった、チベットの青空。