新蔵行路出発前からほとんど眠れていない。興奮していてなかなか寝付けなかったのだ。当然新蔵行路を走っていた3泊は、、、ほとんど眠れていなかった。やっと今日はゆっくり眠れるかと思ったが、、、また眠れなかった。

ドミトリー、多人房に宿泊している。
一部屋にベッドが3つあったのだが、客は僕一人だけでドミ占有状態、快適だった訳で、久しぶりにパソコンを開いたりとのんびり過ごす。ドミで他に客がいる時は荷物などもある程度まとめて、貴重品もしっかり鍵をかけて寝るのだが、もう今日は誰も来ないだろうと、荷物を開けたまま1時頃就寝。
柔らかいベッド、振動もない、何よりも体を思いっきり伸ばせるという幸せをかみしめて眠りに落ちて行ったのだが、、、

夜中の3時半過ぎ、突然ドアがガチャリと開く。
びっくりして飛び起きる。泥棒かと思ったが、部屋の電気をつけられる。見ると、宿のおばちゃん、制服を着た警察官、シャツの襟口にべっとりと血のついた男、の三人組だった。宿のおばちゃんがこのベッドだと、血まみれ男はバッグをベッドに放り投げて寝転がり、布団をかぶる。起こされてしまった僕に一言の挨拶もなし。うんうんと頷いて帰って行く公安。

ドミだから、新しい客が入って来るのは仕方ない。それが嫌だったらシングルの部屋をとればいいのだ。3倍くらい値段はするが。しかし、夜中の3時には、、、普通入って来ない。ノックも何もせずいきなりドアをガチャリ、というのも普通しない。さらに血まみれの男が公安同伴で、というのはまずない。
男は大いびきで、僕は目がさえてしまって、全く眠れない。
不当だ、、、こんなの不当だ。

やっとまどろみかけた明け方5時頃、また。突然ガチャリ。無神経に電気がつけられる。また男と宿のおばちゃんが入って来て、残った一つのベッドを示しこのベッドでどうだ?と。男は気に入らなかったのか、部屋を出て行った。宿のおばちゃんも出て行く。あまりに腹が立って。一言も無しかよと。
また興奮して眠れなくなる。

トイレに行きたくなる。トイレは宿にはない。外の公衆便所。
この宿は鍵をくれない、つまり、部屋に入る時は必ずスタッフを呼ばなくてはならないので、深夜にトイレに行くのは我慢していたのだ。そっちがその気ならと、部屋を出て公衆便所へ。戻って来て、おばちゃんを起こす。しかし起きない。いや、起きているのだが、僕を見てまた布団に戻りやがった。
この野郎、、、新しい客なら夜中でも起き上がるくせに、、、強引に起こして部屋の鍵を開けてもらった。

人間を、「金になる奴」「そうでない奴」、その2種類でしか見ない。
顔を見たら、こいつはその「どっち」か、それだけ。
こんなやり方って、長続きしなくないですか?

●●招待所の、おばさん。
気持ちは分かるけど。
本当、気持ちは分かるよ。
そういう一面は誰にだってあるし、その方が楽だってことの方が多い。
それでも例え建前でもなんでも、もう少し美しく、ありたいと思う。