「僕の声が聞こえますか?
 聞こえるとしたら、どんなふうにきこえているだろう」

self and others という映画のラストです。
聴覚を失った写真家、牛腸茂雄のドキュメンタリー映画。
音なき世界、風景、人物。
それらはとても懐かしくて、優しかった。
最後に牛腸がテープレコーダに問いかけます。
「僕の声が聞こえますか?
 聞こえるとしたら、どんなふうにきこえているだろう」

仕事をしながら、いつも考えてしまう。
僕の声は今どんなふうに聞こえているのだろう?
お客さんに最後に聞いてみたくなる。
僕の声がどうんなふうに聞こえていますかと。

不確かな時。
声は僕をいっそう不安にさせる。
それがただの音の集まりならいいのに。
どうしてこんなに湿っぽく、
あれもこれも伝えすぎてしまう。

そうして君は影さえ残さないのだ。