多部ちゃんと「付き合う」って
言ったところで
今までとなんら変わらない。
多部ちゃんと部室の掃除をして
終わると多部ちゃんの自転車で二人乗りして帰っていく。
本当に、今までと何も変わらない。
送っていく道すがら
神社の前を通り過ぎたけど
そこにはやっぱり智の姿はなかった。
それでなんだか諦めがついた。
俺達は……………
終わったんだって……………
次の日の朝、
多部ちゃんが校門の前で俺を待っていて。
『…………一応………
付き合ってるんだから
これぐらいいいでしょ。』
って、言って
俺の隣に並んで歩いた。
「昨日はあれからどうしてた?」
とか
「数学のここがよくわからないんだよね。」
とか
「茜ちゃんがね………………」
って、
兎に角、女の子はよくしゃべる。
俺は、彼女の話に相槌をうったり
一緒に笑ったりする。
これが「付き合ってる。」って
ことなんだと思う。
そして、そのうち段々と
彼女のことを好きになっていくんだろうな
って、思った。
『今日ね。
潤が智の側にいないんだよ。
なにがあったんだろうね。』
と、教えてくれたのはニノだった。
ニノは、態々俺のクラスに来て
『朝、智が一人で登校して
昼休みには、珍しく
雅紀たちとサッカーしてたらしいよ。』
と、教えてくれた。
『へー。
(智、サッカーできたんだ。)』
俺は、智の名前を聞いただけで
本当はドキッとしたのに
まるで気にしてない風を装った。
その返事に不服だったのか
『なんだよその返事。
翔ちゃんは、気にならないの?
智のこと、気にならないの?
もう、彼女ができたら
俺達のことどうでもいいの?』
と、ニノが俺に突っ掛かってきた。
『そんなことないけどさ。
俺にはどうしようもないじゃん。』
「そうだろ。
俺にどうしろっていうんだよ。」
俺の投げ槍な言葉に
ニノがシュンとなって
『そ、そうだけど………』
と、寂しそうに
『智が可哀想だって思わないの?』
と、呟いた。
『………それは…………』
『それは、
もう、智の問題じゃないかな?
潤のことは智が自分でどうにかしなきゃ。』
「智が潤の束縛を嫌うなら
自分からちゃんと行動すべきだ。」
と、思うから
『俺達は、一歩一歩大人になっていくんだから
一人で解決しなきゃいけないこともある。』
俺は、もっともらしい言葉で
自分にも納得させていた。
『………………翔ちゃん。
冷たい。
やっぱり俺達よりも彼女を取ったんだ。
いいよ。
………………もう。』
ニノは、俺から期待した答えが得られず
怒って帰っていった。
「ふ~
なんだよ。
俺にいったいどうしろって言うんだよ。」
その日、潤のお祖父様が亡くなっていたと
知ることになるのは
それから3日後だった。