白隠慧鶴(はくいんえかく Ekaku Hakuin)
貞享2年—明和5年
江戸時代中期に活躍した禅僧です。
白隠、白隠禅師または正宗国師としても知られ
臨済宗中興の祖と称される歴史的偉人です。
五百年でようやく一人出るかというほどの傑物(五百年間出)
と言われているほどの人物なのです。
生涯に渡り民衆へ法を説き続け
その方法として膨大な量の書画を遺しています。
白隠の描く書画は、どれも独特で解りやすく
迫力とユーモアに溢れていて
江戸時代から現在に至るまで日本国内はもとより海外でも
非常に高い人気を誇っています。
その中でも特に白隠は達磨の絵を数多く描いており
白隠を語る上で外すことのできない作品のひとつとなっています。
そんな高僧であり傑物、白隠慧鶴の書いた一行書
「本来無一物」です。
白隠の書く一行書は、とにかく迫力があります!
「本来無一物」とは禅の世界において代表的な言葉。
その意味は・・・
「本来執すべき一物も無い、何も無い、一切空であり、絶対無である」
といいます。
実際、禅僧である白隠は、この「本来無一物」の言葉を
他の作品としても残しています。
作品を比較してみます。
右側は参考資料。
平凡社 刊「別冊太陽 白隠〜衆生本来仏なり〜」
に掲載されている作品画像を抜粋しています。
この迫力ある筆使いなど
まさに白隠の筆跡であるといえます!
落款部分です。
白隠の作品の多くは印譜だけで署名はあまりありません。
印譜の比較です。
右側は参考資料。
柏書房 刊「必携 落款字典」より抜粋しています。
印の歪み等含めピタリと合致します。
もうひとつの印譜の比較です。
右側は参考資料。
柏書房 刊「必携 落款字典」より抜粋しています。
こちらの印も細かい箇所に至るまでピタリと合致します。
使用されている紙の古さや筆跡の一致、
そしてふたつの印譜の完全なる合致から
この一行書は間違いなく白隠の真筆と断言できます!
惜しむらくは現状 箱がありません。
大事な作品です。
合わせ箱なり自作の箱なりを
保管用に用意しなければと思っています。