やっと来たと言うべきか、もう来てしまったと言うべきか?
入り混じった感情を整理し切れないまま朝の東側からの風に身を晒し立つ。
僕以外の家族はいつもと全く変わらない。
二匹の獣が織り成す朝の喧騒。
それを怒鳴り付ける歩さん。
いつもと全く変わらない朝の風景。
そうだよなぁ。
僕も変わらずにいつも通りしようと思えた。
別に今日は区切りとして大事な日ではあるが、今日だけが特別な日じゃない。
旅に出てからの615日間全部が特別な日だった。
だから616日目の今日もいつも通りに。
この旅でのライブ本数は実に327回を数える。
327回目の今日もいつも通り自分で機材を積み込んで運転して搬入して設営して何にも変わらない。
其の後はこちらもいつもと変わらずに、歩さんがしてくれる髪の毛のセット。
キャンピングカーの中で衣装に着替えた後のライブ前、お決まりの儀式。
ぎゅっぎゅっと髪飾りが頭髪に編み込まれて行く度に心も締まって行く気がする。
旅の序盤ではこの髪留めのヘアピンをキツくされ過ぎて痛かったなぁ。。それでよく喧嘩したなぁ。。車内で喧嘩してても一歩外に出ればニコニコとしてなきゃならなかったのが辛かったなぁ。。そんな事を思い出した。
「じゃあ、今日もやりますかっ!」
「うん、今日もやりましょうっ!!」
そうやってするライブ前の最後の握手で送り出されて326現場を切り抜けてきた。
327回目の今日も変わらず力強い握手で送り出される。
髪の毛のセットも、この握手も今日で終わると思うと少し寂しかった。
一人でツアーに出たら髪の毛はどうすんだろう?
ヒビってる心を誰と握手したら奮い立たせる事が出来るのだろう?
不安を引き摺りながら家族歌い旅の最後に挑む。
今日の現場は種子島、西之表のはえの民宿
海の目の前。ご飯の美味しい綺麗な民宿です。
ご店主は種子島ローカル。かっちゃん。旅の最後が、はえの民宿さんとは光栄だ。
種子島ローカルに見守って頂けるのならば言う事は無い。
形の良い白波が浜にぶつかって波の花を咲かせる。
あれよあれよと日が落ちて沢山の方が集まって下さった。
去年仲良くなった友人達が勢揃いで迎えて下さる。
一瞬ですよ!ほんの一瞬期待しました!
種子島に移住する僕らの為にいらっしゃいjunnosファミリー!!!なんつって書かれた大弾幕とかあるのかしらん??って一瞬期待しましたが、、、全くありませんでした。。
だから、好きです種子島勢。
いつも通り、皆お酒を飲んでタバコ吸って近況を笑い合う。それで充分なのです。
いちいち大業にやらない感じが好きです。
タケシさん達のバンド「がじゃぶう」が前座をして温めて下さる。
さあさあ、旅の終わりを始めますよ!!!と最初の咆哮をしてから歌い出す。
「生きるの大好きです」から。
あ~、、、一曲一曲沁みますわい。
出会った日本中の友人の顔が次々に浮かんで来る。
そのあとは、
あの日はキツかったなぁ。本当にやばかったなぁ。大事な事が壊れかけた日もあったなぁ。手を離さずに居て良かったなぁ。
家族皆よく頑張ったなぁ。皆偉かったなぁ。
そんな事が思い出されたら、もうですね。。耐えられませんです。。涙で僕は声が出ません。
車のお家なんて歌ったもんなら歩さんもぐしゃぐゃです。。
最後は
「旅の人」で締める。
がじゃぶうがバックバンド。
てぇんてぇれれてってぇ~っててぇれれ、れ~ん
膝が崩れる。
肢体が床にストンと落ちる。
思考が一瞬虚無に食われて、僕は暫く立ち尽くした後キャンピングカーに駆け込んで深呼吸した。
あぁ、、、、、美味いっ!
こんな美味い空気を僕は生まれて初めて吸いました。
これで、僕達家族の旅を一旦終わりにします。
結びの言葉はやっぱりこれしかありません。
「各地の皆様、どうも有難うございました!!!僕達元気です」
おわりに。
「何で旅をするんですか?」
そんな事を旅中に何度も何度も聴かれた。
その度に僕は
「旅を辞める為ですよ。」
と答えました。
旅を辞めた旅人が旅人の最高峰であるのは間違いないのです。
物事は全て終わるのです。
また始める為には一度終わらねばならないのです。
僕らもまた始める為に終わります。
満足に終われた事に大感謝です。
笑って泣いて喧嘩して食べて歌って飲んだり呑んだり。
少し痩せたり太ったりして、少しギターが上手くなって新しい曲が出来て三歳だった子が五歳になって一歳の子は三歳になった。
今までお見守り頂いた全ての皆様に厚く御礼を申し上げます。ありがとうっすよ!!!
並びにこの、616本に及ぶ駄文にお付き合い下さった方々にも厚く御礼申し上げます。
ありがとね!!!
ではでは、またお会いする日までどうぞお元気で!!!
junnos / 歩 / カヤ / ウタマル / 小麦(猫)
おわりのおわりに。。
歩ちゃん。
本当にお疲れ様でした。
これからもどうぞ仲良くして下さい!
ありがとう!