新卒くんの席で仕事をするようになって、一週間が過ぎました。
前のブログに書いた通り、私はその分掌(会社でいうところの部署)の人しか入れないフォルダの中に、新卒くんの痕跡を探してみました。
具体的には、ワードやエクセルのファイルのプロパティを見ます。
そして、「詳細」タブをクリックすると、そのファイルの作成者や前回保存者、またいつ作成されたか、といった情報を見ることが出来ます。
そこの「作成者」が新卒くんの名前になっているファイルは、彼がオリジナルで作ったのです。
学校の仕事は、大体毎年同じようなことを踏襲しています。特に、法律で決まっている必ずやらなければならないことや、そうでなくても毎年やらないといけない仕事というのが大部分を占めています。
だから、新卒くんのオリジナルのファイルというのは殆どなく、たいていが前の人が作ったものを新卒くんが書き換えているというファイルが多いのです。
そんな中、新卒くんがオリジナルで作ったファイルを見つけました。
それは、ある企画の紹介をワードで作ったものです。写真や、吹き出しで「楽しいよ」みたいなことを工夫して作っています。
そのファイルを見た時、新卒くんがそれを試行錯誤しながら作っていたのを思い出しました。
そして新卒くんが完成したものを隣の主任に見せた時に「すごくいいんじゃない」と言われて、嬉しそうに笑顔で「よかったです」と話している姿を眺めていたのも思い出します。
褒められて出たその笑顔が、凄く無邪気で可愛かったことも。
半日ぐらいかけて、あまり慣れないワードのレイアウトを試行錯誤していたことも。
そんな様子を、こっそり見守っていた自分のことも。
やっぱり新卒くんの事は鮮やかな記憶として、私の中にファイリングされていたのです。
私は静かに、そのファイルを自分の個人フォルダにコピーしました。