よく私の友達が
「この曲、歌詞が良いから好き」とか
「歌詞で好きになった」とか
そういう類のことを言っていた。
正直、その時の私には
意味がわからなかった。
当時、インストの曲を多く聴いていたこと、
その時、異常なまでに
私が尊敬の念を抱いていた石野卓球の言葉
「音でメッセージが伝わるなら歌詞なんかいらない」
を、信じていたからだと思う。
実際のところ、今でも
「歌詞がいいから好き」というような、
歌詞が音楽を聴くきっかけになるようなことは
一度もない。
でも、少しずつ
歌詞の良さ、奥深さ、音だけでは表せない
細かい感情、メッセージ、信念などを
感じ取ることができるようになった。
きっかけは、中村一義。
彼は天才と言われている。
最初は、その「天才」さが
まったく理解できず
なんで音楽雑誌などのメディアが
彼をクローズアップし、
特別扱いするのか、
一目置いた感じで見ているのか
理解できなかった。
しかし
私は彼の音楽に出会い、
それまでの「歌詞」に対する
イメージが払拭された。
まず、彼の詞世界が
多岐にわたっていること。
時には世界平和、時には博愛について
時には人間関係、
彼の「持論」が展開されている歌詞。
誰かを感動させようとか
共感させようとか
そういう客観的な視点ではない、
彼の考え、信念がつまった歌詞。
同じように
「歌詞」の威力を感じたのはスーパーカー。
中村一義に比べると、多少解り易く感じるのは、
彼らが若かったからだろうか。
恋の映画なんて見飽きてたんだった
老いて平和なんて目指してないんだった
「若い世代に愛なんてない」そんな毎日を笑う
近い未来の僕をかばってたいんだった
(「My girl」)
恋愛を題材にして歌詞を書くミュージシャンは多い。
自分の経験を生かして、とか
自分の理想を描く、とか
テーマとしてはありふれている。
しかし、彼らの手にかかると
こんなにも違う視点からの「恋愛」になる。
私が引用したこの4行は
読めば読む程いろいろな解釈があるように思う。
歌詞は日記ではない。
文学作品でもない。
あくまでも、
音楽があって、その上で成り立つ。
私が歌詞を聴きながら
読みながら考える。
それは
歌詞で伝わる世界観。

