札幌駅
キオスクでマイルド7とみかんを
買ってるおれがいた。
その夫婦は、同じ田舎で
蕎麦屋をやっていたはずだったが…。
確かおれと同じくらいの娘がいた。
うちのお袋もその夫婦をよく知っている。
勿論、おれも知っている。
蕎麦屋を締め、夫婦で働ける場所を
求め、誰に聞いたのかおれの元へ
やってきた。
おれは当時、人材派遣会社の
札幌支店にいた。
夫婦の話を聞いていた。
懐かしさもあった。
「じゅんちゃん、内地でも構わないから、夫婦で働ける所ないかい?」
「本当に内地でいいの?」
何度も聞き返した。
老舗の蕎麦屋を閉めたこと。
身内の揉め事、娘のこと、借金のこと。
北関東支店にその現場の資料を送らせる。
そこに行って働きたい…。
「じゅんちゃん、本当にありがとう。
二人で頑張るから。』
札幌駅
キオスクでタバコとみかん一袋を
買っているおれがいた。
発車のベルが鳴る。
交わす言葉はあまり無い
何かあったらいつでも連絡して…
元気で頑張って!
発車のベルが鳴る。
手を振る
おやじさんも手を振る
奥さんは何度もお辞儀をしてくれて
駐車場
涙が流れて、動けなかった。
ちょうど、今時期だった。