謝罪に赴いた先で

社長さんは意外にも笑顔で出迎えてくれた

 

事故当日

暑い日だったが

遠い所を事故現場までかけつけ

長い現場検証をしている夫に

お茶を買って手渡してくださったと

後で聞いた

 

この世には

こんなに優しい人がいるんだなあと

温かい涙がとめどなく流れた

 

 

死亡事故なので

相手の会社の社長さんにも

警察や労働基準監督署まで行き

事情聴取や書類提出など

面倒で煩雑な作業をお願いすることになった

 

ただただ心苦しさがあった

ひとつの事故が連鎖のように広がり

大変な作業が山積みしていた

それは絶望のように感じられた

 

しかし、社長は穏やかな口調で

「でも、あれは誰がやっても

事故になってしまったんじゃないかと

思うんですよ・・

誰が悪いとかじゃないですよ

ウチでもね、十数年前に事故が起きちゃって

本当に仕方がない、って言ったら本人にも悪いんだけど

今回のことはねえ、誰が悪いわけでもないよ

だから、気を落とさずにって言っても

無理だと思うけど

また、元気に仕事に復帰することが

亡くなった○○も望んでると思うから」

 

ゆったり話す社長の話を聞いていると

夫の責任ではないのではないかと

錯覚に陥るような

快い語り口だった

 

 

 

 

 

 

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