「でね、いつもはすっごく並んでるお店だったのに、私たちは15分も待たずに入れたんだよ!」
「……」
「注文してから焼きあがるまで、20分はかかるってことだからね、混んでると1時間近くかかることもあるんだって」
「……」
「だけどちゃんと20分で来たんだよ〜」
「……」
「ほらほら!これ!見て、剛君」
スマホの画面を、剛君の眼の前に差し出す
「近すぎんだろ」
見えねぇって、スマホをどけられる
「え〜これなら見える?」
剛君の目線から20cmぐらいのところに、スマホ画面をあらためて差し出す
「……」
「フッワフワでね。前に食べた△△のパンケーキより、全然美味しかったよー」
「テイクアウト」
「え?そんなのなかったよ」
「……自慢かよ」
「んふふ、そうくると思ってたよ!」
私は大きなカバンから、バババーンと取り出した
「剛君!私がパンケーキ焼いてあげる」
一緒にお店に行くことはできない
普段並んでるお店みたいだから、剛君が例えばマネージャーさんや友達と行くことも難しいと思う
だけど、すっごく美味しくて
一口目を口にしてから食べ終わるまで、ずーっと剛君に食べてほしいって思ってたから
「キッチン借りるね!」
「おまえ……ふっ」
そこから剛君は笑いのツボスイッチが入ったらしく、いつもの特徴的な笑い声をずっと上げ続けた
だってさ、フライパンじゃなかったんだよ
私、作ってるところをじっくり見てきたの
型とかは使ってなかった
焼いてたのはホットプレートで
だけど剛君ちにあるかどうかわからなかったから
「担いで来たのかよ?」
ようやく笑い虫が消えたらしく、準備する私の元へとやって来た
「うん。私こう見えて力持ちだからね」
小さめのものだし、剛君が美味しそうに食べる顔を思い浮かべたら
全然重くなかった
「早く焼けよ」
私が買ってきた生クリームや果物を手にしながら、まるで子供のように笑って言った
この笑顔を見れるなら、私はどんな難しいスイーツだって作ってみせる!と思う
いつか
剛君専用のパテシェールになりたいなぁ
終わり
美味しいパンケーキを、食べました。
甘くて美味しいものを食べると、岡田君と剛君が思い浮かびます。
幸せのパンケーキ
ペロリだったわ!