暗闇の中、道路には雪がかなり積もっていた
俺は慎重に道を走らせる
彼女の言葉に従って、よかったんだろう
かなり早く着くと思ったが、結局現場には予定時間の30分ほど前に着いた
呼ばれるまで、控え室で用意されていたコ-ヒ-を飲む
プラスチックのカップからのぼる湯気を見ていると、今朝の彼女が思い出される
俺に合わせて5時に起きるなんて、きっと今日は寝不足だろう
起きてきた彼女に寝てていいと言ったけど、彼女の性格から無理だということはわかっていて
つまり嬉しかったわけなんだ、起きてくれて。
少し濃いめのコ-ヒ-を淹れてくれ、簡単なものしかないよ~と言いながら
ハムチ―ズのホットサンドを作ってくれた
「私はまだ入らない・・・」
自分は寝起きだし朝早すぎて、お腹に入らないということらしい
食べる俺の前に座り、テ-ブルに両頬杖をついてぼんやりと見つめてくる
少し腫れぼったい寝起きの瞼が、かわいくて笑いそうになる
グレ-の部屋着にすっぴん
俺という存在に、気を許している証拠
「あ、ヨ-グルト」
パタパタと冷蔵庫に向かい、戻ってきたときにはヨ-グルトの入ったガラスの器を持っていた
「これね、美味しいんだよ」
「・・・マ-マレ-ド?」
乳白色のヨ-グルトの上に、オレンジ色のソ-スがかかっていた
「ううん、国産オレンジのソース。友達にもらったの」
俺のために濃いめに淹れたからだろう
自分用には、いつもよりたっぷりと牛乳を入れたようなカフェオレ
そのマグカップを両手で持ち、火傷しないように慎重に飲み始めた