わがまま

 

 

なのかな

 



チュってかわいらしい音をたてて、唇が離れる

 

 


わがままだとしたら嬉しい

 

 

年上なのに、ちょっとかわいい男の子に思えてしまう



彼の隙を見せてくれた気がするから

 

 


「こぉ~らっ」

 

 

「ふふふ」

 

 

小さな明かりだけだから、暗いんだけど

 

 

ここまで近くになると、さすがに表情もわかる

 

 

すぅっと通った鼻筋の根元に、しわが少し寄ってる

 

 

ムッとしてるのかな

 

 

やっぱりかわいいでしょ

 

 

キュッと引き結ばれた唇が、さっきまでのキスの余韻を思い出させるように

 

 

少し濡れて見える

 

 

「わがまま言われるのは、嬉しいから」

 

 

?って顔してる

 

 

「雪の中、わざわざ来てくれたのはなんで?」

 

 

聞いてみる

 

 

寝る前の感情

 

 

真っ白な雪に、彼が隠されていくような不安

 

 

真っ白な雪が、なぜか怖く思えたこと

 

 

 

彼も感じたのかな

 

 

 

「雪が降ってたからさ」

 

 

やっぱり私と同じ気持ちだったの?

 

 

「なんか…ウキウキしちゃって」

 

 

そう言ってから、子供っぽいよなってつぶやいて自分の顎を撫でた