「明日は何時に出るの?」

 

 

低くこもった声で聞かれた

 

 

ボソボソとはちょっと違うんだよね

 

 

「・・・ちょっと早めで6時半ぐらいかな」

 

 

雪の影響が出るかもしれないから、いつもより30分以上早めに出ようと思っていた

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

「電車で行くよ」

 

 

「・・・・何も言ってないのに」

 

 

今度はちょっとむくれたような声

 

 

「准君は、6時には出てね」

 

 

「そんなに俺を早く追い出したいのか・・・」

 

 

あ、俳優入った

 

 

「そんなことあるわけないでしょ~。もぅっ!わかってるくせにそういうこと言うんだから」

 

 

形のいい両耳を、みよ~んとひっぱる

 

 

「じゃあ、一緒に車で」

 

「ダメ!」

 

 

彼の言葉にかぶせる様に言う

 

 

「准君は車で6時。私は電車で6時半」

 

 

耳を引っ張られたまま、上目づかいで見つめられる

 

 

うぅ・・・・・・・・・

 

 

薄暗い部屋

 

 

至近距離で見る彼の目は

 

 

白目の部分が、発光しているかのようで

 

 

クラっとする

 

いやいやいや、そんなことで負けてどうする?!

 

 

がんばれ!私!

 

 

耳を引っ張っていた指をはずし、彼の頬を包む

 

 

「准君とこれからも一緒にいたいから・・・別々で出ようね」

 

 

私の言葉に、少しだけ間をおいて

 

 

ふぅっと息を吐きだし

 

 

「・・・・・・・・・・俺がわがまま言ってるだけみたいじゃん」

 

 

って言いながら、キスをしてきた