[冷え込むね。おやすみなさい]
仕事が終わり、帰る準備をしながらスマホを見たら、そんなメールが来ていた
雪、かなり降ったみたいだよな
運転席に座ってから、返信を今するかしないか考える
23時まわったところか
着信音は切ってると言っていたから、寝ていたとしても起こしはしないだろう
[風邪ひいたりしないように]
送信
もっと気の利いたことメールしたいんだけど、思い浮かばない
世間の男女が、長々LINEやメールでやり取りするって聞くけど、やっぱり面白い内容なんだろう
俺もマネはしてみたいけど、どうやればいいか皆目見当がつかない
…
……
いいこと思いついた
俺はいそいそとカーナビに、彼女の家の近くをセットする
彼女の家の近くに、地下駐車場があるんだ
そこに停めれば、雪で埋もれて明日の朝動かせないなんてこともない
それにこの雪だから、駐車場から彼女の家までフードをかぶって歩いていても不振には思われない
我ながらナイスな思いつきだとニヤつく
カバンの中にいつも入れてある彼女の家の鍵を確認する
よし
メールしておこう
急に黙ってくるなんて、といわれないために
[今から行くよ]
お互い明日も仕事だし、朝までしか一緒にはいられない
というか、寝るだけだけど
雪がこんな降るなんて特別な夜に思えるから
彼女を抱きしめて眠りたいと思った