「わぁ、積もってきてる!」


定時であがり、着替えて会社の外に出ると


歩道にはもう雪が積もっていた


これは…


「明日の朝…やばいかもね」


駅まで一緒に帰る同僚が言った



「電車は大丈夫かな?明日の朝は早めに出て来た方がいいよね」



お昼の時の雪と違って、かなり大きめの雪がふわりふわりと空から降ってきている


真っ暗な空


何度もグレーを塗り重ねたような色



その空中から


突然フッと現れて、ふぅわりふわりとワルツでも踊るかのように降りてくる




見てるかな…



頭に浮かんだのは彼



お仕事は屋内が多いんだって言ってたから、まだ見てないかな



「こなぁ〜ゆきぃ〜ねぇ、こころぉまぁでしぃろぉく、そめらぁれたならぁ〜」



「ちょっ!声大きいって」



突全空に両手を広げ、歌い出した同僚の腕を引っ張る



「だって、すごくきれいじゃん」


きれいだと歌うのか…



「確かにきれいだよね」



きれいなだけじゃないけど


積もったら、あちこち大変なことになるから



それでも


今目の前に降る雪を見たら



きれいだねって思った