濡れた音を立てて、唇が離れた



「だぁって…明日の朝には帰っちゃうでしょ」



「…仕事だもん」



旅行とか特別なことじゃなく、三泊してしまった



彼の日常生活に混ぜてもらったような三泊



「だから、覚えておくために…」



また唇が触れそうになる



「あ!」



思い出した!し忘れてたこと!



「准君っ!ひらパーの話、終わってないよ」



私は大阪の話を彼に直接したかったんだ



だけど途中までしか聞いてもらってなかった



触れそうだった唇の端がクッと上がった



「じゃぁ、話して」



視線を上げると、右の眉を上げた彼が私を優しく見つめていた



それから体をクルンと仰向けにされ、私は彼の逞しい腕枕にお世話になる



「うん。あのね、途中まで話したでしょ」



そこから



ひらパーで乗った乗り物のこと


小ちゃな園長を探せたこと


准君がロケで食べてたご飯を食べられたこと



大阪のコンサートに行けた喜び



思い出すまま、話続けた



「楽しかったんだね」



「うん!すんごくね!」



ほんの少しの切なさは、消しゴムでゴシゴシ消した



「枚方に〇〇が来てたんだよな」



「くずはモールのタワレコはV6推しだし。いいところだよね」



うちの近所のタワレコも、あんなだったらいいのにな



「また…枚方おいでよ」



「うん!絶対次のコンサートも大阪当てるから!」



大阪で別れるとき、友達と誓い合ってた



次のコンサートも絶対大阪参戦しようねって