おかしい



なんとなくおかしい



どこがとかはわからないけど、おかしい



「准君、明日は何時?」



「〇〇よりは遅いから」



「そっか」



ほら



なんでそれで赤くなるんだ



帰宅してから視線もなぜかあまり合わない



話してる内容もなんというか…いつもと違う



今夜で泊まりは終わりなのに、これじゃモヤモヤしたままになってしまう



カチャカチャと小さな音をたてながら、食器をしまっている彼女の姿を観察してみる



…2人の箸を持って、急にほわんと笑った



…かわいい



……




今の感情はとりあえず横に置いておこう




食器を拭いた布を持ったまま、床をじっと見たかと思うと、今度は視線を空に向ける



なんなんだ



夕飯食べてる時も、なんだかうわの空…そんな雰囲気を少し感じてしまった



食器を片付けてくれてる彼女に甘え、俺は仕事関係の資料に目を通す



字を目が追ってはいるんだけど、頭にはほとんど入ってこない



そんな俺には関心がないというか、何か自分の中の世界に夢中であるかのような彼女が



マグカップを二つ持ち、俺の隣にやってきた



「ここ、置いておくね」



ローテーブルの上に、俺のマグカップを置いてくれる



カタンっという音とともに、柔らかな匂いが漂ってきた



「新しいハーブティー?」



自分のマグカップに口をつけ、飲もうとしていた彼女は俺の問いに嬉しそうに微笑んで



「うん。わかった?」



コクリと一口飲んで、なぜかまた真っ赤になってしまった



催淫作用でもあるお茶なのか?



頬が染まるというレベルじゃなく、真っ赤


真っ赤っか




そしていつもの距離より、こぶし3つ分




離れて座っているという事実