「・・・・いい匂い」
出迎えた廊下でキスをされ
そのままリビングまで抱っこで運ばれた
私を下ろすと、洗面所へと向かいながらそんなこと言ってくれる
いい匂いって味と直結してるといいな
「准君、お腹空いてる?」
「めっちゃすいてる~」
少し甘えるように伸びる語尾にキュンとしながら、鍋を温めだす
「何?」
キッチンへとやってきた彼は、Tシャツに七分のパンツという部屋着
そのまま私の背後から覆いかぶさる様に鍋を覗き込む
「危ないよ」
背中に感じる彼の体温に、ドキドキしてることを知られたくなくてそんなこと言ってしまう
それなのに全く気にせず、鍋の蓋をつまみ上げた
「・・・・きゃべつの煮物?」
クツクツ煮立っている鍋の中には一面のキャベツ
「ふふふ。違うよ、まかないロ-ルキャベツっていうの」
冷静に答えながらも、目の前にある彼の逞しい二の腕ときれいな手に
やっぱりドキドキが止まらない