「お疲れ様」

 

 

 

「・・・・・・・ごめんね」

 

 

 

玄関の鍵がまわる音がしたから、彼女が来たと思い迎えに出た

 

 

そこには落ち込んだような疲れたような、そんな表情を浮かべている彼女がいた

 

 

 

「ごめん?」

 

 

「だって先に来て待ってるって言ったのに」

 

 

あぁ、この前のことか

 

 

確かに家で迎えてほしいと言ったけど、いつもいつも待たせてばかりの俺としては今日は彼女を迎えられて嬉しかった

 

 

 

「俺は仕事早く終わったから」

 

 

つま先を見ているかのようにうつむいたまま、靴を脱いでいる

 

 

家に上がってからも顔は下を向いたままで、リビングへと歩きだした俺の後をトボトボとついてくる

 

 

 

「夕飯、あるから食べよう」

 

 

このところ余裕がある俺は、自炊も久々にしていた

 

 

今夜は・・・・・・簡単にカレ-だけど

 

 

 

「・・・・・・・・カレ-?」

 

 

「正解!」

 

 

薄手のコ-トを脱ぎながらキッチンの方を覗こうとしてきた

 

 

「ほら、俺がよそっておくから。手、洗っておいで」

 

 

「・・・・うん、ありがとう」

 

 

カレ-ってみんな好きだよな

 

 

カレ-って聞くとテンション少し上がるのは俺だけじゃないはず

 

 

きっとなんだか凹み気味の彼女の気持ちも上向きになるだろう

 

 

という願いも込めて、ル-たっぷりに盛り付けた

 

 

「いい匂い~」

 

 

鼻をクンクンさせながら彼女が洗面所からやってきた

 

 

小さな鼻を少し上に向けて嗅いでいる姿がかわいくて、カレ-にしてよかったと思った

 

 

「サラダも」

 

 

「ん」

 

 

ちぎっただけのような、簡単サラダ

 

 

「おいしそうっ」

 

 

さっきまでの彼女とは違い、カレ-を前にした小学生のように

 

 

ウキウキとイスをひき、座った