いつものように食後に二人でゆっくりとお茶を飲む

 

 

「これ、何のお茶?」

 

 

「そば茶だよ。いっぱいもらったの」

 

 

香ばしくほのかな甘みを感じる味

手のひらの中の湯呑には透き通った琥珀色が揺れている

 

 

彼女みたいだと思う

体の中心からじんわりと癒していってくれる、そんな感じで。

 

 

 

「今日、泊まってもいい?」

 

 

「明日のお仕事は?」

 

 

いつだって俺の仕事一番に考えてくれている

だけど今はすぐにうんって頷いてほしかったな

 

 

「午後からだから」

 

 

「・・・・うん」

 

 

ほんのりと桜色に染めた目元がかわいくて、じっと見つめたら

 

 

「○○、寝不足?」

 

 

化粧で隠しようがないほど、目の下にクマができていた

 

 

パッと目元を隠すけれどしっかり見た後だから遅い

 

両手をそっと握り、目元から離させると

 

 

そこにはやっぱりくっきりとしたクマがあった

 

うつむいて俺の視線から逃れようとするから、ついつい追ってしまい気が付いたら唇をふさいでいた

 

 

ちゅっ

 

 

小さな音を立てて離れたころには彼女も大人しくなっていて、目元をそっと指でなぞると少し眉根を寄せて目をつぶった

 

 

 

「忙しかった?」

 

 

俺が急に来ることになって何か無理をさせたんじゃないだろうか

 

いつも黙って俺を向かい入れてくれるけど、彼女にだって予定があるはずだよな

 

こんなクマを作るほど無理をさせたとしたら申し訳ない。でも・・・・・・そうまでしてくれて会いたいと思ってくれたのかもしれないと思うと、嬉しくなってしまう。