どこの子供の遊びだよ



ごっこ遊び、だろ



2人でロシアン観覧車に乗ってるつもり、だろ



なんだよ



俺はひらパーのロシアン観覧車に〇〇と2人で乗っててっぺんでチュウしたいんだよ



それなのに彼女の隣に座り、言われるがまま目を瞑ると



本当に乗ってる気分になってしまった



早っ


俺、切り替え早っ



横に座っている彼女は自分で始めたのにそのあとどうしていいかわからないらしく



唇を尖らせて考え込んでいる


そのまま引き寄せてキスしたいけど



まだ観覧車に乗ったばかりじゃ早いよな



だから俺は実際のロシアン観覧車に乗ると流れるという、見えない風景を説明するアナウンスをはじめる



彼女はそれに対してとても喜んで、熱心に聞いてくれる



俺は関西人としてはまったく面白い話ができないやつなのに


途中何度もクスクス笑ってくれるから



もう今すぐ抱きしめてしまいたくなる



「1番上に着いた?」



観覧車のてっぺん



そこは健君によるとお付き合いしている2人にとっては神聖なる場所…のはず


よし




今すぐ1番上に着かせることに決めた


着いた


ここはてっぺんだ


うん



もうてっぺんなんだから



「んっ」



彼女の肩を引き寄せ



薄く開かれた唇をふさぐように重ねた



そのままゆっくりと優しいキスを繰り返すと



握ってない方の彼女の手が俺のシャツの胸元をつかんできて



本物の観覧車の中ではできないようなことをしたくなってしまう



「んっ…ふぅっ…ん…」


合わせた唇の間から漏れる吐息が徐々に熱を帯びてきているようで



せっかく彼女が考えてくれたこのごっこ遊びを終わらせないままで、どうやったらこの先ができるかなんてことを真剣に考えだす