「お湯、いただきました~」
ベタベタを洗い流し、ほっこほこに温まってきた
ソファに座って何かの資料みたいなものを読んでいる准君が振り返って
「さっき、どうしたの?」
って聞いてきた。
斜め45度の顔って…またまたやばい
当たり前なんだけど2つの目が流し目状態になってるから、なんだかわからないけど前後に彼がいて挟まれてるみたいに感じられて
つまりはドキドキしてしまう
「さっき……あぁ、うるさくてごめんね。シャワーが水だったの」
確かめないで浴びたらぬるま湯とかじゃなくて本当に冷たい水で思わず叫んでしまったんだ
「ごめんっ、俺だ。お湯になおしておかなかったんだ。」
謝りながらソファの背もたれから片腕を伸ばして私に差し出す
彼から手を差し伸べられる幸せ
コンサート会場では誰もが彼の手に一瞬でも触れたくて精一杯腕を伸ばす
「おいで」
固まったままの私に声をかける
背もたれに乗った肩の筋肉が逞しくてこれまたドキドキしてしまう
どれだけドキドキさせるんだろう
差し出された手にそっと手を乗せたら、きゅうっと優しく握ってくれて
彼の方へと促されるままに歩き、隣に座った
まだ乾ききっていない私の髪を彼はきれいな指でクルクルと巻きつけては離す
「なんで水だったの?」
ドキドキを知られたくなくてどうでもいいのに話をふる
「………修行」
「修行⁈滝にうたれるみたいな?」
准君、いったい今度は何を始めてるんだろう
「ごめん、ウソ。」
薄っすら髭の生えた顎を撫でながらウソなんて言われても、かわいすぎて許しちゃうよ
そのままポフンと抱きしめられる