「准君…」
「ん?」
「ちょっと…歩きにくいかも」
「んふふ。がんばって」
先にリビングにむかって歩き出した私に覆いかぶさるようにくっついて歩く
背後からの声に
アルコールのにおい
リビングについて紙袋をテーブルに置いてる間も彼はくっついたままで器用にコートを脱ぎだした
「甘いにおいがする…」
「あ、生クリームホイップしてたの。」
そのまま彼にホイップをお願いしちゃおうとキッチンへむかう
「あのね、このクリームをホイップしてからロールケーキにぬってイチゴを飾ろうかなって」
「ホイップするの?」
ボウルに入れたままの泡立て器を持ち上げ、そのままカシャカシャと泡立てだす
逞しい二の腕がボウルをしっかり抱え込んで泡立てる姿がかわいくて
「ふふっ」
思わず笑い声が漏れてしまった
私の声に手を止めて視線だけで何かダメ?って聞いてくる
「ちょうどいいかも。ちょっと泡立て器上げてみてくれる?」
持ち上げた泡立て器からクリームがゆっくりと落ち、ボウルの中にはしっかりツノもたっていた
さすが
あっという間だった
「ばっちり。ありがとう」
彼はちょっと得意げに笑い、そのまま泡立て器を自分の口元に持って行き
ついている生クリームをペロリと舐めた
それは不意打ちには強烈すぎて
そのまま視線を外せなくなる
泡立て器の細い針金についた真っ白な生クリームをペロペロと舐めあげていく彼の舌の赤い色が
脳裏に焼き付いていく
硬直したまま凝視する私に気づいた彼は
「〇〇も舐める?」
普段なら言わないようなことを言ってきた
「准君…結構飲んでる?」
アルコールは強いほうだと思うけど、彼の周囲からかなりにおうってことはそれだけ飲んでるってことだよね
「んー。なんか…楽しかったから」
それはつまり24時間ラジオが楽しかったってことかな
それで打ち上げ的なもので美味しくてアルコールがすすんだのかな
「そっか。よかったね」
メンバーとの仕事は本当にリラックスして楽しそうで
私もウキウキしてしまう