「ちっさっ」
少し早いクリスマスのためにケ-キを買ってきた
何気に甘いもの好きな剛君のために
小さなサイズのケ-キがいろいろ詰め合わせになっているもの
「どれ食べる?」
と聞いたのにもうフォ-クにグサッて音がしそうな感じで刺して一口で食べてしまった
「あ~」
「んんっ?何だこれ?!」
それは深い緑の抹茶味のもの
「抹茶だよ」
「・・・・・・・・・」
もしかして
「こっちのがピスタチオだよ」
私は抹茶より薄いきれいなグリ-ンのケ-キを指さす
私の言葉には無言でまたもやグサッと、そして一口
「んっめ~っ」
羊の鳴き声かい?!
来年は申年
今年はまだ未年
満足げな剛君の笑み
「私が抹茶食べようと思ってたのにな~」
他にもいろいろあるから剛君に全部食べられる前に何にしようかなって選んでいたら
急にぐいっと右手を引かれ骨ばったきれいな手で顎をとらえられた
「んんッ」
目の前に剛君の色っぽく細められた目が・・・と思ったら唇をふさがれていた
そのまま入り込んできた熱い舌に絡め取られ
ボ~っとしてきたところで離される
「ど?うまい?」
いたずらが成功した後みたいな得意顔
「・・・・・・うん・・・・・上手・・・・・・」
「は?上手・・・・・って・・・・」
直後に剛君が盛大に噴出して笑い出した
ひゃっひゃっひゃって
ず-----っと
ず------っと
ず---------っと
私はわけがわからなかったけど
剛君のその笑いが大好きだからそのままポ~っと見惚れていた
それから
やっと笑いがおさまってきたのか目元に滲んだ涙を拭うような仕草をした後
「ケ-キがうまいかって聞いたんだ」
「・・・・・・・え?え?えええ?!」
つまり剛君は自分が食べたケ-キの味見を口移しでって・・・・
それでおいしいかってことを聞いたのに
私はキスが上手いかって聞かれたと思って答えちゃったわけで・・・
ふんぎゃ~っ
は、恥ずかしいっ
もうっ紛らわしい聞き方するんだもんっ
「お前、まじかわいいよな」
甘い甘い甘すぎる視線に捕えられる
セクシ-ビ-ム出てる~っ
焼ける~って思ったら
「ほら、どれ食う?」
私の恥ずかしさや火照った頬なんて気にも留めずに次のケ-キを選んでる
そんな彼がやっぱり好き
クリスマスイブもクリスマス当日も一緒にはいられないけど
ラジオ聴きながら一緒にいる気持ちになろう
自分一人分のピスタチオ味のケ-キでも買ってね