家に帰るまでの時間


彼女が起きてる時間だと電話をする


コール音が数回で


携帯越してもわかるぐらい


はずんだ声が聞こえた


なんでもない会話が



疲れた体にゆるゆると染み込んで癒されていく



岡「○○は仕事忙しい?」


「9月末は決算期でいろいろ忙しかったんたけど、乗り越えたから一息つけたかなー。」


決算期


そうか、9月に決算の会社が多いんだな


岡「ちゃんと寝てる?」


「それは私のセリフだよ~」


クスクス聞こえる笑い声がまるですぐ横にいるかのように感じられて胸に甘いものが広がる



岡「俺はちゃんと寝てるから」


「私の仕事はかわりがいるけど、准君のかわりはいないんだから…ちゃんと寝てね」


それはたぶんこの前ちょっと睡眠時間をごまかして


彼女を泊まらせたからか


いつもは隠している彼女の心配性な部分がちらりとのぞく


岡「了解。……俺にとって○○のかわりはいないけどね」



電話だからか


普段言えないようなことが


さらりと口からこぼれた



「………ありがと」


ほんのり染まっているであろう彼女の頬にキスをしたい



岡「ん。」


通話中なのに無言になる


でもお互いの微かな息遣いが感じられ心地いい