今更ながらやっぱりこれを選んだことにいろいろ不安になっていた。

注文したときは○○が喜ぶ顔が目の前にリアルに浮かぶぐらいだったんだけど…34歳のおじさんがやったらやばいんじゃないか⁈と。

こういうことって女子高生とかがやることなんじゃないか、と…。

あとから何か他にカバンとかアクセサリーとかプレゼントしたほうがいいだろうか?とか。

でも

彼女はすごく喜んでくれた。

黄緑クマを渡したとき、俺クマ(笑)だと気付いて愛おしそうに手の中のクマを撫でてくれた。

そしてそのあと

黄色クマをそっと差し出して見せたら

まるで八重桜がほころぶような笑みを浮かべた。

そうだ

彼女はこういう子だった、ってことを再確認できてどうしようもなく嬉しく愛おしく感じる。

「…あ、ほら、準君」

ゆるく抱きしめた俺の腕の中で

2匹のクマを両手に乗せて俺の方へ差し出して見せる。

「ね!手がつなげるんだね」

クマの手にはマグネットが入っているらしく

2匹のクマは向かい合わせで両手をつないでいる。

「…仲良しだね。」

ニコニコと飽きることなく2匹のクマを見つめている。

岡「…エベレストにこっちのクマ、連れてくから。」

黄色のクマをそっと指で撫でる。

「…うん。」

岡「帰ってきたら2匹を一緒に飾ろう」

「…うん。」

クマを見ながら頷くばかりの彼女

岡「とりあえず海外ロケは二ヶ月前後だと思うから。」

「…うん。」

岡「帰って時間が出来たらすぐ会いに行くから…」

心配しないで待っててほしい

と言おうと思ったら

「時間が出来たらゆっくり寝て休んで!」

さっきまでの花の笑みは消え去り

鬼教官のような顔で睨まれる

「准君はいろんなインストラクターの資格もあるし、体力も気力もあるし、すごいけど…」

真剣な顔で言葉を続ける。

「でもだからこそ休める時間があったら必ず休んでほしいよ。」


岡「○○…」


「それで…そのあと時間がまだあったら…会いたいから…」


鬼教官は消えて

クマのチェーンをいじりながら

つぶやくように言った。

「…ひゃぁっ」

緩やかに抱きしめていた彼女を我慢できずに思い切り抱きしめる。

「じ、准君っ。クマ一とクマ○が潰れちゃうよー」

俺と彼女の胸の間に挟まれたクマを心配する彼女。







岡「…ぶふっ、あっはっはっはっはっ」

突然笑いだした俺を不思議そうに見つめる

だってさぁ…

「…なんで笑ってるの?」

いや、本当久々にお腹痛くなるぐらい笑う

「…ふふふっ」

そんな俺につられて笑い出す彼女

ひとしきり笑ったあと、やっと落ち着いて

岡「クマ一とクマ○って(笑)」

昭和の犬の名付けのようなセンスがツボに入ってどうしようもなくおかしかった。

「…おかしいかな?だって…准一の一と、私の○をつけたんだよ?」

何がおかしいの?いいよね?と言わんばかりのドヤ顔にまた笑いがこみ上げそうになる。